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あなたの声が聞きたくて3

[324]  里咲 愛理  2006-11-03投稿
菜々美はグラスが大きめのメガネをかけ。ブルージーンズに長袖の白いブラウス、茶系のカーディガンを羽織って外にでた。時計を見ると9時を10分程回っている。菜々美はハッとした。晃が今日は来ていない。ニュースが終わる9時頃には必ず現れた晃が今日に限って菜々美のマンションを訪れていない。こんなことは今迄、なかったことだ。もしかすると、国家公安委員会の捜査員に確保された確率を否定出来なかった。晃は普通の会社のサラリーマンで菜々美の素姓を知らない。菜々美が警察庁公安部査察課の準キャリアだということも。現在、国家公安委員会と現政権の癒着とある東アジアの国に対する、協同謀議を捜査していることなどつゆも知らないだろう。警察庁の公安部は警察庁の人間しか、兵隊は動かせないが、国家公安委員会は内閣の承認のもと、自衛隊を動かせる事が強みだ。警察庁としては公安部外事課と連携して、協同謀議、つまり、東アジアのO国と日本が戦争状態に入らないように、戦争好きな国家公安委員会を牽制するのを任務として菜々美は動いていた。菜々美は辺りを見回しながらエレベーターホールへと進んで行った。この間、3人の捜査員と思われる。国家公安委員会の監視員を確認出来た。菜々美は何事もなかったように顔を上げパンプスを鳴らし、エレベーターホールへと歩く。エントランスまで来ると、捜査員であろう人間が2人増えていた。女の捜査員も2人いる。晃はこの捜査員達に確保されたか。追い払われたかのどちらかであろう。エントランスに着いて、エレベーターのボタンを下に押した。12階建てのマンションの7階に住む菜々美は1階に降りていたエレベーターが上がって来るのを待った。エレベーターが7階に着いた。ここまでは、尾行している委員会の捜査員に呼び止められる事はなかった。菜々美は大きく息を吐いた。エレベーターに乗れたらこっちのものだ。逃走経路は10通り以上ある。巻ける確率は高くなる。エレベーターのドアが開き、菜々美は乗り込もうとすると、血だらけの男が中にいた。顔は殴られて人相が分からないようになっていたが、着衣、持ち物は全て晃のモノだった。菜々美は驚愕して。その場に立ち尽くした。

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