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君に逢いたい 5

[392]  2006-01-02投稿

「見たでしょ?こっから出てきたとこ。あの人と一緒にいたのよ。今日一日。」
ハッキリと言ってやりました。せっかく冷静になれたのに、またふつふつと怒りが込み上げます。
「……何でそんなこと。おまえが一番嫌ってることだろ。」
「そうよ、浮気は大っ嫌いよ!でもあなたは私と付き合って、毎年この日にはあの人に会いに行ってるじゃない!それは浮気も同じよ!だから私も同じ事をしただけ!」
「……。」
「悔しいでしょ?頭にくるでしょ?!でも私はずっとこんな思いをしてきたのよ!あなたは当たり前みたいに行ってしまうけど、私は…。」とうとう思いあまって泣き出してしまいました。もっと言いたいことはたくさんあるのに、言葉が続きません。
「唯……。」
彼は優しく肩を抱いてくれましたが、私はまだ怒りが収まらず手をはねのけてしまいました。
「楽しみにしてたのよ?ディズニーランド…。1ヶ月も…前から。別にそこじゃなくても良かったんだけど…。」
と、私がこぼした途端、突然彼は私の腕を引っ張り助手席に押し込みました。
「ちょっと!!」
びっくりして声を大きくした私に、近くを通る人は一斉に注目します。彼も私が逃げられないように慌てて車を発進しました。まるで誘拐です。
「亮…。どこ連れていく気?」
私はこんな強引な亮は見たことがなかったので怖くなりました。車はどんどんスピードを増していきます。
「今日はまだ行ってない。」
「え?」
「今日はまだあいつのとこには行ってないんだ。」
言っている意味が分かりません。あの人のところに行ってない?じゃあ別の人のところに…。私の頭は疑心暗鬼になっていました。

しばらく車を走らせた彼は、海岸沿いの堤防の横に車を止めました。あたりに民家もなく、ただ打ち寄せられる波の音だけが響いています。「降りて。」
ぶっきらぼうに言うと、彼は私を待たず降りていきました。その後を慌てて追います。石の門をくぐり、砂利道を歩き、敷石で導かれる小さな囲いの中に入りました。
「ようやく連れてこれたぞ。真紀。」

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