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迷想浪漫

[313]  蝶流悠紀  2006-11-07投稿
「そこの殿方、私に用があるなら声をかけて下さってよろしいのに」「…いつから?」「最初から♪あなたの背後を憑いてくる、その者達の気配で…」「背後…?」

龍一が後ろを振り向くと、黒い大きな影が龍一を飲み込もうとしていた。
サッと龍一の真横を白い影が通り抜けた。
「オン…サラバ…」
紫音が、数珠を取出し、黒い影を縛り上げた。夜の闇の静寂の中、この世の者とは思えない者の呻き声とキリキリと締め付ける数珠の音が鳴り響いていた。
「オン・コロコロ…ソワカ」黒い影が消え去った。
龍一は驚いてその場で尻をついてしまった。
「大丈夫?」「え、あぁ…少し驚いただけで、今のは?」「あれ?あれは怨霊とか妖怪見たいな奴」「妖…かい?」「そうよ!神聖でなければならない寺社に、毎晩妖怪連れて入ってきて!お兄さん?名前は?」
「龍…いち…」「私は、及川紫音。龍一、明後日正午。神宮に詣る事!!いい?」
そう言うと、紫音は、夜の闇へと消えていった…

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