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天使のすむ湖(最終章)

[456]  雪美  2006-11-07投稿
香里が亡くなってから、15年という月日が流れた。
その間に俺と岬は結婚し、五歳のかわいい娘にめぐまれた。
桜井は数年前に、この地元に戻り、弁護士事務所を立ち上げて、独立した。
俺はホスピスを五年前に立ち上げて、助教授となり、看取りの精神を日々伝授し続けている。
特に病院からきた治療中心の考えでいる医師やナースには、
「病気だけを見ていてはいけない、その人自身を見るんだ、目的は治療でも問題点でもない、その人の望みは何なのか?思いはどこにあるのかだ、食べられないからと言って、安易に経管にしたり、点滴のみに頼るんじゃない、緩和ケアとは、単に痛みを取ることだけを言うんじゃない、心を癒すことを言うんだ、心と体は切り離せないから、どこまで向き合えるか、何が出来るか真剣に考えろー」
今日もその理念を話していた。
そこに桜井も登場し、
「相変わらずやってんなー」
と言っていた。
最近桜井は、あの時の誓い通りホスピスで法律問題や、後見人のない人に法廷後見人になってくれて、俺もついつい頼りにして、相談していた。
柏原先生は、精神科医として、そして催眠療法を用いてメンタルケアに週の半分は、来てくれている。
大木先生は、在宅ケアの往診や、訪問看護ステーションを主に担ってくれている。俺も手が空いてる時には在宅の往診もしている。

俺は理想の半分以上を実現させていた。

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