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運命の輪10

[320]  最上  2006-11-08投稿
「そのまま押し黙るつもりか。少年?何も覚えていないと、誰も殺していないと、よくも…いけしゃあしゃあと言えたものだな!」
傲音をあげて男がいた岩が原型を留めることなく砕け散ったのはその時だった。優はとっさに腕で体をかばう。岩の破片から体を守るためとしての役割は果たした。が、しかし−
「…うっ!!」
声にならない空気が優の口から漏れた。たった今まで数メートルは先にいた男が空間を無効化したかのような速さで優に詰め寄り、その襟を鷲掴みにしたのだ。「そうさ…俺の兄は血を見ると過剰に興奮し理性を失う傾向があったさ。いつかは死ぬと思っていた…だが貴様のような若造に!」
まるで燃え盛る火炎。手負いの獣。男の眼光は赤熱を優に浴びせかける。
「なんだ…この熱…は…」「感じるか?血は争えん。俺も兄と同じく激情が抑えられんたちでな…過剰分泌されるのだよ。体内物質が…」
優の周りの温度は既に40度は軽く超えていただろう。優の鉄製鎧は融解を開始、この男の前に小細工は通用しえないということを露骨に呈していた。
「故に私が選ばれたのだ…当主に…貴様をこの場で滅する!」
転瞬、男の手が火花を発しそれを取り巻く炎蛇のような炎が小爆発。優の首を復讐の業火で焼失させようとその牙が喰らいにかかる!「燃え尽きろ小僧ぉぉ!」その怒声と共に男の手が瞬間的に大爆発を起こした。まるで火薬庫に着火したかのような爆発力。その衝撃は辺り一面の木々を振動させ、闇夜に似合わない神々しい朱色を描く。闇に終焉をもたらすはずの灯りは今では闇夜を恐怖一色に染め上げる赤光でしかない。
再び月光のみが唯一の闇の目撃者となる時にはそこにたたずむ者は一人しかいなない−異常に上昇した体温を下げるために体中から熱を発する男のみが。

感想

  • 5211: 怖いくらいリアル だな [2011-01-16]
  • 5214: 感想どうもです。最近パチスロをやめる決意をしました最上です [2011-01-16]

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