大切な想い
楓は嬉しそうに話していた。今までの事、クラスの事、そして智明と再会できたこと、を。 しかし、智明の注意は別のとこに向けられていた。朝見かけた男がまたいるからだ。しかも人数も増えている。 智明は男達の存在に気付いていることを悟られない様に何とか彼女を自宅まで送ってやろうと決心した。と、同時に 「智明さん。さっきから後ろについてくるあの人達誰ですか?」 楓が男達に指差して聞いてきた。 (楓さん 気付いてたんですか。って指差すオマケまでつけちゃって) 智明は真っ白になりながら心中で突っ込んでいた。正気に戻るのに時間はいらなかった。 「しまった。気付かれたか?」 智明はすぐに注意を男達にやった。と、同時に男達は動き出した。 「やはり気付かれたか」 智明は舌打ちをして、急いで楓の手を取って走り出した。 「智明さん。どうしたんですか。急に走り出して ちょっと智明さん」 楓の問い掛けは智明の耳には入っていなかった。 とにかく逃げるそれだけだった。しかし相手はプロだろう俺みたいな高校生が逃げれるほどあまくないだろう。智明は半ば諦めていた。そんな考えが智明の足を止めた。 二人は囲まれた。 取り囲んだ連中の一人の女が口を開いた。 「少し想定外ですが、まぁ予定通りでしょう。」 二人は茫然としていた。 また女は口を開いた。 「申し遅れました。私はミシア。あるお方からあなたたちを連れてくるように命を受け、今この場に至ります」 二人はまだいまいち状況が理解できていない。 「まだ困惑されてますか。別に構いません。あなたがたは今から我々に あの人の元へ連れていかれるだけですから」 そう言いながらミシアは 楓に手をのばした。
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