大切な想い
楓の目を被うようにミシアの手は置かれた。 すると楓は操り人形の糸が切れたかのように気を失って倒れ込んでしまった。 「楓に何をした!!」 隣で見ていた智明は叫んだ。 「何って、見ての通り抵抗されるとメンドイから少し眠ってもらっただけよ。心配しないで。 すぐに君もこうなるから」 ミシアは智明の怒りをかわすように智明の耳元で囁いた。 「ふざけるな!!何でこんな事をする。僕たちが何をした!」 智明はなおも叫んだ。 「聞いてなかったの?あなたたちをあの人の元へ連れてくって言ったでしょ。別にあなたたちは何もしてないわ。ただ私達があの人の命で動いているだけ。もうこれ以上話すことはないわ。 “Good Night” ボーヤ」ミシアの手が智明の方へと延びた。 (くそっ ここまでか−−楓 ごめん−−) 智明の意識は薄れていった。 「いい子ね。ゆっくりおやすみ−−−−!!」 ミシアは後ろへ跳んだ。 同時に周りの男達も周囲に注意を払った。 「誰だ!!!」 ミシアは怒鳴った。 返答はない。 「クソッ おい、お前等 引き上げるぞ! ジェイル カエデ=キサラギを連れていけ。私はトモアキ=イズミを連れて後を追う。急げ!」 「OK ミシア任せな」 ジェイルはそう言い残し楓を抱え走っていった。 ミシアも智明を担いだ。 「何だったんだ。さっきの物凄い殺気は。今まであんな殺気感じたこともない。そんな奴がこんな極東の島国に存在するのか?」 ミシアは少し困惑気味だった。 その時、背中に何か当てられた感触がした。
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