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悲しき殺屋

[559]  たつん  2006-11-10投稿
N県長村村。

公立高校に通う黒木かずやは、

どこにでもいる普通の高校生だ。

外見は一般的にみたらイケメン。

また学力も彼が勉強嫌いなだけで

やればできるといった才能のある人間だ。

性格はあまり前にでる方ではないが

彼には友人が多く、彼の回りには人が集まる。


どこにでもいる高校生だ。


キンコーカーンコーン。

築60年以上たつ木造校舎の窓ガラスが、チャイムの音でわずかに震える。


「かずや今日は弁当あるのー?」

昼休み、かずやの回りには友人たちが集まる。


かずや「はは…わりぃ今日うち母ちゃん風邪でさ…へへ。弁当ないんだよね。。」


「まぁ弁当がないのはいつものことだけどさ、お前も大変だな!」


かずやの家庭はかずやが幼いときに、父を亡くしてからは母子家庭だった。


かずや「パンかなんか買いに行こうぜ。」

そう言って友人たちとかずやは、パンを買いに学校の外のパン屋まで歩いていった。


いつも通り襟が少しよれよれの長袖を着た無愛想なおじいさんがパンを売っている。


かずや「これと…これと…あとその140円のやつちょうだい。」


おじいさん「340円」


相変わらず値段以外はしゃべらない。


「よっしゃ中庭でくおうぜ。」

友人が颯爽と前を歩いていく。

かずや達は外にある中庭へと移動した。
ここは春になると中庭一帯を囲むように木造の校舎をバックに桜が花を咲かし、雑草が桜の木の根元を隠すように芽を開く場所。


そんな何百年も前にあるような風情あるこの中庭が友人のお気に入りの場所だった。

「にしてもあのジジイ何もしゃべんねーよなぁ」

かずや「まぁ…でもパン売るだけだしね…」

「いや、ありがとうございましたぐらい言えっての!」

友人はあまりあのおじいさんのことが好きではない。

いつも昼休みの大半はおじいさんの話題だ。

「しかし、大体いつも何考えてんだろな〜」


かずや「まぁ商売のことはまず考えてないっしょ!」

友人がすぐさま応える

「あれで考えてますなんて言ったって、誰が信じるか!」

暖かく長い風が中庭を通り抜ける。

桜の木がゆっくりと揺れ桜が散る。


「てかさぁ…」

かずや「ん?」

かずやが弁当を食べるときに持ってくる、先が少し剥げた箸を片手に話し始める。

「おれあのじいさんの噂聞いたことあんだよ。」

かずや「噂ってなに??」

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