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アシンメトリー(1)

[387]  砂川華波  2006-11-10投稿
白いレースのカーテンが背中を滑って、華波は目覚めた。

いつもとは違う、真っ白な朝だった。

隣には夏生が静かな寝息をたてている。

タオルを手に、ベッドから立ち上がると、夏生が薄目を開けて鼻をすすった。
「おはよ。もう起きたのか?」

「うん。用意しないとね。映画見に行くんでしょ?」

顔を洗って鏡の中を覗く。いつもと変わらない自分。でも、明らかに違う自分。気持ちだけで走ってしまう悪い癖を客観視できずに、夏生と一緒にいられる今を幸せに思うしかなかった。

「目玉焼きにする?」
「昨日のステーキおいしかったなぁ、料理うまい男っていいね!」
「いい肉といいスパイスといい鍋があれば出来るの!お前は大切な客だからな。」


客か。
確かに、急な訪問客かもしれない。


スーツケースひとつで会いに来た華波を見て、驚いた顔をした夏生は、いつものあったかい笑顔で「よく来たな。」って迎え入れてくれた。

真っ黒に焼けた笑顔はあの時のままだった。
都会には不釣り合いな感じではあったが、大好きな夏生だった。


親に嘘までついて、東京にまで来てしまった。
そんな自分の大胆さと、情熱に驚いた華波だった。


離れて、初めて知った。
こんなにも好きだということに。

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