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悲しき殺屋3

[536]  たつん  2006-11-10投稿
かずやは友人の後ろについて行った。

10分程歩いただろうか、おじいさんの足が止まった。


「おい!あれ家じゃねぇか??」

友人が声を潜めながら指を差した。

友人の指差したその先には、雨や泥などで玄関の入り口、家の壁などが汚れた木造の家が見えた。


元々人口が少なく若い人がいないこの村には、嫁いでくる人もいない為昔ながらの木造の家が多い。
その中でもおじいさんの家は特に目立って古く見えた。

「入ってくぞ!」

おじいさんはリヤカーを庭に入れ、ビニールシートを被せるとパンの入ったかばんを持って家の中に入って行った。

友人はつぶやいた。
「そうかぁ…ここかぁ〜にしても古くさい家だなぁ〜」

そういうと友人は更に家に近付いていった。

かずや「おい!見つかる…おい!見つかるって!!」


おじいさんにばれないようにかずやは声を潜めて友人を止めた。

しかし、友人にはこの声は届いていなかった。

友人はどんどん家の方へと、ばれないように腰を曲げ低姿勢で近付いていく。


ガラッ


戸を開ける音がし慌てて友人は隠れた。

遠くでみていたかずやも、軽くしゃがんで電柱に身を隠した。

どうやらおじいさんは家の外へ出かけるらしい。


おじいさんの姿が見えなくなると、友人は立ち上がり手招きした。


「入ろうぜ。」

かずやの耳元でそう囁くと友人はそっと玄関を開けた。


かずやはヤリスギだとは思ったが止めはしなかった。

噂のこともあるが、あのおじいさんが普段どんな生活をしているか気になったからだ。

友人の後ろから家の中に入る、まず人の家独特の臭いがした。

かずやの親戚のおじいさんの家に似た臭いだ。

靴を両手に持ち中へと進む二人。

もはやイタズラの限度を超えていると、二人ともわかっているのに、気付けなかった。

そのいけないという心は、如何におじいさんにばれないように部屋を覗くか、
という気持ちに押しつぶされていた。


「仏壇だ…」

友人がつぶやいた。
友人とかずやが今いる部屋には仏壇と、仏壇の横にある古い真っ黒になった本棚しかなかった。


「だれの仏壇かな??…」

友人は部屋を見渡しながらいった。

仏壇には1978.6.14
と何か難しい字で書かれた位牌が置いてあった。

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