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チェイン 一話

[304]  アイ  2006-11-12投稿
大好きなカレと、
気の合う友達。

勉強はキライだし、
学校もめんどくさいけど。

みんなと同じように生きて、
みんなと一緒に笑って、
流されてみるのだって
それなりに楽しい。

今のあたしは。
愛情も、友情も。
手に入らないものは何も無い。

15になりたての、秋。


「桜ぁ、誕生日おめでと!」

11月16日。

あたしの、15回目の誕生日。

この歳になって、誕生日なんか別に嬉しくもない。

ただ、
プレゼントは別。

「はい、あげる〜」

新しいCDに、
かわいいアクセサリー。
すべて、
欲しかったモノばっかり。

「ありがとー!」
「まぁ、うちらのより期待してるプレゼントあるでしょ?」

にやにやしながら、聞かれる。

「彼氏に何もらったのよ〜」

聞かれると思った、
定番の話題。

「いや、今日会ってないし」
「一緒に帰んないの?」
「約束してないし。」

そんな話をしてるうちに。
時計は午後6時を指してた。

秋のこの時間は、
もうすっかり暗い。

「なんか、もう冬だね?」
「何、急に」

「もうこんなに暗い」

つい前までは、夏で。
こんなに寒さが近づいてきたことに。

あたしは本当に今気づいた。

「桜の恋の冬も近いかな」
「いや、心配無用だから」

「桜っ」

と、そこに。
噂の人物の乱入。

「望!」

息を切らせて、教室に入ってきたのは。
あたしのカレ、望だった。

「どうしたの?」

部活が終わったにしては、早い時間。

「見りゃ分かるだろ、走ってきたの」

そりゃ。
すごい汗には、気づいてたけど。

「いやいや、何の御用?」

あたしの疑問に。
望はバカみたいに口を開けた。

「お前はバカか!」

いや、それ今、あたしがあなたに思ったんですけど。

「...もーいい、帰るぞ」
「え、一緒に帰るの?」

「外暗いだろ。」

振り向きもせず。
そう言い放った望は。

もしかしたらちょっと照れてた?

「ありがと。優しいじゃん」

心配だから、とか。
優しい言葉ひとついわないこの人が。

めちゃくちゃ優しいのは、もう知ってる。

「別に」

ちょっとそっけないカレの言動が。

全部照れ隠しなのも、
もう、知ってる。

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