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SWEET HABIT

[387]  アイ  2006-11-12投稿
自他ともに認める。
あたしは飽きっぽい。

同じケータイなんて3ヶ月も使わないし、
髪だって一通りの色は試した。
引越しなんてそんなに出来ないけど、せめて壁紙はすぐ総入れ替え。

もう、本当に、とにかく。

変化がないなんて生きてない、て思うくらいに。
あたしはすぐに周りを変えたがる。

だけど、一年間、ここにあるものが、一つ。

「・・・お前さぁ、物に愛着ってもんがないわけ?」

あたしの、昨日変えたばっかりのケータイを眺めて。
そんなことを言う。

「ころころころころケータイやら何やら変えて」

呆れ顔で、あたしを見る。

「いいじゃんよ。勝手じゃん」
「お前ほんと、飽きっぽいね」

そう言って、笑う。
すっと、切れ長の目が、細くなる。
細い眉毛が、下がる。

あたしはこの顔を、何度も見たことがある。
・・・だけど。

「ソレがなんか悪いの?」
「いや?」

意地悪く微笑みかける。
その目も。
その、表情も。

何でなのか本当にわかんないんだけど。

「俺に飽きないでくれれば、何だっていいよ」

あなたのこと。
飽きないんだよね。

もっと、もっと、一緒にいたい。

どうしてかな?
わかんないんだけど。

「もうとっくに飽きてるよ」
「・・まじで?」

そうやって、あせった顔。

笑った顔。
怒った顔。

一個一個全部あたしの宝物なの。
飽きない。
手放せない。

もっともっと、あたしに見せて。

「嘘。一年間も一緒にいるんだから、信じてよ」

彼の手を握る。

この温もりも。

感じたことがあって。
温かい。

確かめる。

どんなにどんなに周りを変えても。
たった一個変わらないものがあれば。
あたしはあたしでいられるよね。

あなたがずっと、傍にいるなら。

「まぁ分かってたけどね」
「うわ」

「お前に俺は必要だからね」

頷くのは癪だけど。
そうね。

飽きっぽい。あたしの。
ずうっと傍にいて。

「そんで、俺にお前は必要」

そして。
その、甘い甘い上手なキスで。
あたしを、あきさせないで。

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