ストラップ物語(中)
銀行に就職したタカシは毎日残業を繰り返し、金融系の資格をとるため休日も勉強しながら同じような忙しい毎日を過ごし・・・3年後、融資担当に配属された。
あの日からプラスティックはタカシの携帯ストラップについている。仕事も一人前にこなせるようになってきたある日の夜、残業をこなしながら久しぶりに読み返すストラップの文字、当たり前に見てきた文字「人のためになる人間になる」その文字を眺めながら、「失敗もしなくなってきたし、人のために働けてるのかな?」そう独り言を呟いたとき、電話が鳴り仕事モードで対応し始めた。
「はい、その件は上司とも相談したんですが無理ですね、お客様のためにも無理をしない方が賢明だと思いますよ・・・・」電話を切って、足早に会社を後にした。
長めの連休がとれたタカシは実家に帰省した。食卓で父親が
「銀行には慣れてきたか?」
「はい、慣れてきました。迷惑もかけることなく仕事ができるようになってきました。」
威厳のある父親は低い声で「人のためになる人間になりなさい」昔から言い続けてる言葉を繰り返した。
その夜、地元の友人達と飲みながら仕事の話で盛り上がっていた。
「俺らも1人前になったよな、給料貰って、社会のために働いて」
みな、社会人として認められ始めてきたことに熱く語り合っていた。
「タカシは何で銀行に就職したんだ?」
そう聞く友人に言葉を詰まらせた・・・
「俺なんかこないだ同級生の慎太郎ん家の火事消したんだぜ」と自信満々に語る友人は消防士になりたいという夢をこの地元で叶えていた。
月が綺麗な夜空を眺めながら微酔いで家路につき、呟いた。
「何で銀行か?か・・・」
「親父は俺を安定させたくて銀行に就職させたのか?」
「そんな親父じゃないよな・・・」
携帯を手にしたときストラップが切れて落ちたプラスティック。
そこには耳慣れた父親の言葉が刻まれていた・・・タカシは強く握ってポケットに詰め込んだ。
ストラップ物語(下)に続く
あの日からプラスティックはタカシの携帯ストラップについている。仕事も一人前にこなせるようになってきたある日の夜、残業をこなしながら久しぶりに読み返すストラップの文字、当たり前に見てきた文字「人のためになる人間になる」その文字を眺めながら、「失敗もしなくなってきたし、人のために働けてるのかな?」そう独り言を呟いたとき、電話が鳴り仕事モードで対応し始めた。
「はい、その件は上司とも相談したんですが無理ですね、お客様のためにも無理をしない方が賢明だと思いますよ・・・・」電話を切って、足早に会社を後にした。
長めの連休がとれたタカシは実家に帰省した。食卓で父親が
「銀行には慣れてきたか?」
「はい、慣れてきました。迷惑もかけることなく仕事ができるようになってきました。」
威厳のある父親は低い声で「人のためになる人間になりなさい」昔から言い続けてる言葉を繰り返した。
その夜、地元の友人達と飲みながら仕事の話で盛り上がっていた。
「俺らも1人前になったよな、給料貰って、社会のために働いて」
みな、社会人として認められ始めてきたことに熱く語り合っていた。
「タカシは何で銀行に就職したんだ?」
そう聞く友人に言葉を詰まらせた・・・
「俺なんかこないだ同級生の慎太郎ん家の火事消したんだぜ」と自信満々に語る友人は消防士になりたいという夢をこの地元で叶えていた。
月が綺麗な夜空を眺めながら微酔いで家路につき、呟いた。
「何で銀行か?か・・・」
「親父は俺を安定させたくて銀行に就職させたのか?」
「そんな親父じゃないよな・・・」
携帯を手にしたときストラップが切れて落ちたプラスティック。
そこには耳慣れた父親の言葉が刻まれていた・・・タカシは強く握ってポケットに詰め込んだ。
ストラップ物語(下)に続く
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