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振り向きざまに、ホラ−プロローグ−

[334]  夜ヰ子  2006-11-13投稿
「あの…村崎さん。」

無駄に冷たい風が吹き抜ける、11月初旬。
私は初恋の人に声を掛けられた。
それも、かなり唐突に。

「な、何?」

周りには、誰も居ない。
窓の外で、冷たい風に唆された葉が、しくしくと、落ちて行くだけ。

それもそのはず。
もう、放課後になってから、2時間は経っているもの。

私がグルグル考えている間じゅうも、彼はじっと私を真っ直ぐに見つめている。

トロトロとした静寂が私達をしっとりと包み込み、都合の良い空想を誘う。

しかし、その空想もあながち間違いじゃないかもしれない…。

放課後の教室で2人きりで、彼は何か言いた気だ。
やはり、このシチュエーションと言えば…

「あの…さ…」

しっとりとした静寂を引き裂いたのは、彼だった。
同時に私の空想も掻き消える。

「何?」
「前から言おうと思ってたんだけど…」

早鐘を打ち始める心臓。
口の中が渇く。
自然に拳を握る。

さあ、来い!
初恋の人コト舞前君!最後の一言をさぁ!

「えっと…背中に何か憑いてるからさ…お払いとか行った方が良いと思う…そ、それだけ!じゃ、じゃね!」

…。

はぁ?

もう一度言う。
ここは、誰も居ない放課後の教室。

外はもう、太陽がおさらばしかけていて…

私は何か大層なものを憑けているそうだ。

感想

  • 5423: 作者です。 [2011-01-16]
  • 5424: タイトルは「振り向きざまに、ホラ」というタイトルで、決してホラーじゃありません!(何 [2011-01-16]

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