カウンセラー?
一週間後、ここを訪れた。同じ部屋に案内され待つこと数分……先生が現れた。服装は前と同じで気さくな笑みは変わらない。「今日は緊張していないみたいですね。来て頂いてよかったです。」 「…?」「一度、来て頂いても二度目は来て頂けるかは、わからないんです。ここは約束がないんです。来るか来ないかは自分の気持ち次第です。私たちは手助け、きっかけを作る場です。ですから思い留まって来ない方もいるんです。」「そうですか……」ちょっと自分の気持ちを見透かされた感じになり俯いた。そう…実は私がそうだったからだ。ここに行くか辞めるか迷っていた。恥ずかしさ、迷い、いろんな感情が心の中で格闘していた。それでもこの場に来たのは、話したい、分かってもらいたい気持ちが強かったから…誰にも言えなかったことを話し少しでも気持ちを整理したかった。心の中に数十年も閉じ込めていることに疲れた始めたのかもしれない。「みんな同じなんですね…きっと…」そう答えるのがやっとだった。でも…私は…反面、期待している自分に気付いた。「この先生に話しても大丈夫かもしれない…」「分かってほしい」そんな気持ちは安易かもしれないが、今はそれでもいいんだ…。「さて、僕はどこまで話してほしいとは言いませんので、自由に話して結構です。ただ申し訳ありませんが時間がありまして一時間くらいをメドにお願いできますか?そのかわり何度、話しても、来て頂いても結構です。宜しいでしょうか?」少し申し訳なさそうに笑った。私みたいな境遇の人はたくさんいるのだから、当たり前の事だ。「わかりました。こちらこそお願いします。」いよいよだ…さて…心を静めて…話さなければ…。「まずは、私の家族のことを話します。私の家族は父と母、私と弟の四人家族でした。物心ついた時には家は自営の会社をしていました。自営と言っても自宅兼事務所のような所で従業員も六人程の会社でした。仕事は美装業で主にビルの清掃全般をやっていたんです。いつも大人がワイワイいる。それが当たり前だったんです。」もう遥か昔を…思い起こしながら私は話し始めた。「父と母は昔から仲は良くありませんでした…。父はものすごく短気で気に入らない事には暴力は当たり前でした。母はよく父の暴力に泣いていました…」
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