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もののけの宴(終焉)

[519]  暗闇少年  2006-11-14投稿
「ゴッ」
振り下ろされた棒は獣神の顔にめり込んだ…。


そしてあの事件から一年。俺はまた秋陣村に戻ってきた。一年前のあの後、俺は梢と翔の墓を作り、村を離れ、逃亡生活を続けている。世間からは、三人とも行方不明となっている。獣神の死体は、消え去ってしまった。
亮「あれから一年経つのか。」
俺はあの旅館の裏の森に向かう。俺は誰も足を踏み入れない森の中に墓を作った。ちなみに、あの旅館はもう旅館ではない。あの時、梢の部屋で獣神に旅館の老婆が食われてしまい、持ち主がいなくなってしまったからだ。そして俺は墓の前に立つ。一年振りの友との再会。俺は華を添え手を合わせる。
「亮!」
聞き覚えのある声。しかし、いまこの場にいるはずがない。俺は振りむいた。
亮「翔…梢……。」
そこにいたのは翔と梢。死んだはずの二人。しかし、そんなことはどうでもよかった。霊でも何でもいい。ただ、二人に会えることが嬉しかった。しかし、俺は翔と梢の姿を見て驚愕した。その姿は、人ではない。死んだときの、死んだままの姿で立っていた。翔は獣神に切り裂かれた姿で、梢にいたっては、身体の半分が無い。俺はその恐ろしさに声が出ない。
亮「あ…あ、ぁ…。」
翔「亮…何故怖ガル?友達ダロ?」
翔がゆっくりと歩み寄る。そのとき俺は、忘れようとも忘れられないあの声を聞いた。
翔「忌まわしき少年よ。こんどこそお前の最期だ。」
翔の声が急に低くなる。翔と梢。二人は消え去り、あの恐ろしい獣が姿を現した。
亮「うわあぁぁ!!」
獣神「いい顔だ。恐怖に満ちておる。一年前。あの程度の攻撃で我が死ぬとでも思ったか!」
あの時と同じ恐怖感と威圧感。ただ、今回は奴に勝てる気がしなかった。逆に感じたのは解放感。なぜかこれで終わると感じていた。
獣神「我の前にひれ伏せ。」
獣神が鋭い爪を振りかぶる。終わる。俺が終わる。怖いとは思わない。これで二人に会える。梢…翔…今行くよ…。


亮が最期に見たのは憎しみの化身、巨獣の爪だった。





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