900?
朝起きて父と自分の弁当を入れる。かれこれこういう朝を送るようになって1年と4ヶ月がたった。
同時に母が出て行って1年と4ヶ月がたった。
僕が起きて一階へ行き卵を2個とウインナーを取り出した頃、玄関から「行ってきまぁす」と、寝起きの悪そうな声が長く冷たい廊下を通り聞こえてくる。最近進学校とぽつぽつ声が上がる私立高校に通い、2年生で僕とは違いとても美形な次男、修児である。彼の弁当は彼の彼女の沙希が作っているらしいが、実際は彼女のお母さんが作っているらしい。なんと言ったら良いのか・・・
そして弁当が出来上がる頃に二階から大きな足音をたてて父がおりてくる。「何か手伝おうか」足音の割りには特に大柄でもなく恐いこともない父に黙って手を動かしながら首を横に振る。
そのやり取りをしていると、さっきの足音を合図に下2人の妹と弟を起こす祖母の声が聞こえてくる。
僕はこの2人を合わせた4人兄弟の長男なのである。
祖母は早くに旦那を亡くし女手一つで父と伯母さんを育てててきた。
小学6年と4年の2人が着替えだすと同時に弁当を包む。祖母は相変わらずあれやこれやと下2人の身支度に口を出している。窓のカーテンの隙間から暖かくさし込む日光と同じように、ビーグル犬のラックの不思議そうな視線がそれを捕らえる。
感想
- 5444: 最近、弁当のおかずがやたら豪華。妻のヤツ、何かよからぬことを考えてんじゃなかろうな。ここはひとつ、弁当の中身を分析してみよう。今日は、米産狂い牛のサーロインステーキ。昨日は、ふぐ刺し。その前は、どっかのかたつむりを捕まえてきてアレンジしたフランス料理……。 うーむ。狂牛が、ちと保険金目当てぽくて恐いが、ふぐはOK。妻は、結婚前、板前をしていて免許を持ってるのだ。偽造エスカルゴにいたっては、発想がかわいらしくてたまらん。しかも、旨かったから、妻の工夫に頭が下がる。仕事がんばろう! 全頭検査しよう、マジで! [2011-01-16]
「 良ちん 」の携帯小説
- 【携帯版】多賀城[たがのき]の携帯サイトが完成しました。
- PC用小説サイト新設のお知らせ
- 「携帯小説!」がスマートフォンに対応しました
- 【状況報告】03/18の管理人現況
- 【ネット復活】更新再開
- 管理人です。
- サイトの新デザインを作ってみました。