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WOLFMAN-ウルフマン-

[510]  話し屋  2006-01-07投稿
第三章
『ティース・タリアナ』
研究室前で一人ドキドキしていた。入るべきか、入らないべきか。
『すぅーはぁー』
大きく息を吸い、吐き、心に決め、ドアノブに手を掛けようと手を伸ばした。
「何してんだよ、早く入れよ。」
マークが来て、あっさりとドアを開け中に入っていった。そのマークの背中に隠れるようにして僕も中に入っていった。
「ティース、研究はどうだぁ?」
マークがティースに問い掛けた。マークの背中からこっそりと顔を出してみるとそこには長い金髪が似合う女性が立っていた。まさしくティースだった。
「全然ダメ。」
そう答え、僕の姿を見つけると明るげに声を掛けてきた。
「おはよう、調子はどう?」
「も、問題ないよ」
すると、彼女はニコッと笑い。
「そっ。」
と答えた。僕の心臓はドクドクと大きな音をたてていただろう。その時、液体が入った小さなビンが目に入った。恐る恐るティースに尋ねた。
「ねぇ、それ何?」
すると、ティースは思い出したかのように答えた。
「あぁ、これ?博士が金庫に保管しといてくれって、何でもすごく珍しい物で研究員の中ではお宝物らしいわよ。」
「何で、そんな物がうちにあるんだよ。」
マークが口を開いた。
「そこまでは・・。」
ティースが困ったように首を傾げた。
「まぁ、良いじゃんそんな事。」
ティースが困っているのを見て思わず大きな声を出してしまった。
「あ、あぁ。」
マークが少し驚いていた。ティースはクスッと笑った。何故笑ったかは解らなかったが、何だかちょっと、うれしかった。
その時、ホールに、ガードマンを連れた一人の男が僕達の方に近づいているのを僕はまだ知らなかった・・・。

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