航宙機動部隊8
所が、リクは、風格と気品が不思議とあるらしく、おまけに、分からない所は、やっつけ仕事で間に合わせて、けっこう上手く行くのだから、何がしか非凡な所があるのだろう。 だからと言うわけではないのだろうが、リクは時々、ネカイア公に、政治や戦略向きの質問を浴びせられる。 三0Mはある長テ―ブルに着いた時の、これが日課となっていた。 正直言って、リクに考える余地は少ない。 統合宇宙軍をやっつければ、それでお終いである。 場合によっては、こちらがやっつけられてお了い、と言う事もありうるが。 一つ奇策を思い付いた。 超粒子複合体「SCSM」をありったけ詰め込んで、この巨船《D・カ―ネギ―》号を統合宇宙軍の艦列にぶつけてしまうのだ。 これで帝国は滅び、次いでにボ―タ王国と共和国宙邦との友好関係も滅んでしまうだろう。 幸い、リクには平均以上の政治的理解力があり、そして、最低限の想像力を具えてもいたから、はしたない提案は口にしない事にした。 『大兵を以て、非道なる侵略者を叩く―これぞ宇宙の大法の命じ給うた所であり、我等最外縁征討軍に与えられた、崇高な使命であります。今更私めごときが、何を差しで口をする必要がありましょう―存分に戦い、跋扈を極める帝国に、正義の鉄槌を下してやりましょう。小生めは、みなさま諸賢の采配を、良く良く勉強させてもらい、今後の人生の糧として参りたいと存じます』 オブラ―トに包み込んだ、玉虫色の言動は、『謙虚』と言う美名の下、リクがこの大船に乗り組んでから、新たに身に付けた技術だった。 今の所彼は、この対症療法を、上手く使いこなしている。 晩餐かいが一通り終わると、中国明朝を模したとされる、江南風庭園スペ―スに全員移動して、サロンタイムに入った。 今だに疑問なのは、金銀メッキのシャンデリアがぶら下がり、聖母子像が飾られた、七色のステンドグラスや、黒光りするブロンズ胸像や、大理石の円柱やらが、本当に中国式なのか?と言ってやりたくなるが、リクは、余計な口は慎む事にした。
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