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万華鏡(2話)

[477]  飛水  2006-11-16投稿
‥‥本さん!‥‥湯本さん!!
遠くの方から声がする。
(‥美月)
耳元から声がする。顔を上げると周りの目がこちらを見ている。
「ほら、起きて!じゃあ次のところから読んで」
後ろを振り向いた裕美が私の教科書を指差す。
「‥骨転移の発生機序は全身循環器系を介する‥‥」

斜め右下に顔を近づける。
(ありがと!助かった。)(美月が寝てるなんてびっくりしたよ。)
(昨日寝たの遅くて‥。)(そっか‥あんまり頑張り過ぎないでよっ?‥ところでさ‥)
襟元まで伸びたストレートの黒髪。いつもマスカラしかしてない顔は色っぽいささえ感じる。白のカーデに淡い緑のインナーの服は白い肌にとても合っている。

(‥ちょっと聞いてる?)
(ごめん、ぼーっとしてた。)
(まったくー。ねぇ、昨日のメールにあった相談したいことって‥?)
(‥‥うーん‥。
裕美、放課後時間ある?はと時計行きたい。)
(ん、わかった。じゃあ6時にはと時計で!)

篠田裕美はこの学校入ってから意気投合した私の一番の親友だ。自分の意見をしっかり持っていて、皆から頼りにされる存在にある。私はいつも相談事があると彼女に聞いてもらっている。同い年なのに、‥私とは大違いだ。

看護の専門学校に通い始めてから2年。一日があっという間に過ぎていく生活は今も変わらない。

‥‥友達は沢山いるけど、恋人はいない。

‥この先、何もかも捨てていいくらい好きな誰かと巡り会うことなんて‥‥あるのかな。


ねぇ‥‥
私、まだ忘れてないよ‥?

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