僕、俺、私
俺は、今、不思議と自然に死に向かっている。死にたいと思うのが俺の自然体なんだろう。30歳を間近に迎えてごく当たり前のようにね。バックには、鬼束ちひろの声が響く。心地いい。水が7割ほど入ったペットボトルに俺の顔が移り込む。そんなに悪い顔じゃない。眼球は茶色く光る。 生きて欲しいと訴えるような温かい光。煙草の煙が視界を塞ぐ。何も視ないから、もう何も観たくないから、俺の顔も、もういいよ。最近、部屋の配置を変えた。居心地はいい。部屋の床には、埃で色あせた薬が転がってる。赤い薬、薄いピンクの薬、純白の薬、絵の具に使ったら夕陽でも描けそうだな。真っ白な僕の身体。 苦しいのは、僕だけじゃないよ。五体満足な体。頭の中は、紫と黒が渦を巻いている。追い詰めないと体は動かない。震える手首。なんで、どうして、誰のせい、答えのない洞窟に吸い込まれる。 寒い。自然と猫背になる。 血のつながりは、息苦しい。息をすることも、忘れるくらい。掛け違いが重りあってトイレの中より狭く感じる。排泄物のような俺。小学生の時、僕は、みんなのイケニエになったんだ。なんでまだ存在してるの? 親の通帳、もっていかなかったから。トイレの水は、もう飲みたくないよ。パンツ返して。裸だと、寒いよ。 家の誰にも言えない秘密。助けてくれるのは紫と黒。たくさん殺したんだよ。でも、僕は生きてしまったんだ。こんなにも長く。 煙草の毒が毎日、身体を巡る。仕事しない人は、生きちゃダメだよ。お医者さんを信じてると、死んじゃうよ。咳が止まらない。微熱が続く。胃がチクチクする。どうして、こんなにも苦しめるの。 僕はただ声を出したいだけなんだよ。 生きたい、生きたい、死にたくないよ 助けてくれる大人はいない。 生きることは辛い。 それでも、生きたい。煙草の煙は、もう飽きたよ。湿った布団で今日を通り過ぎる私。
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