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アシンメトリー(4)

[356]  砂川華波  2006-11-17投稿
神戸に来て早一ヶ月。

華波は日々の生活の中で、夏生のことを忘れたことはなかった。

女子寮はそれなりに楽しかったし、大学生活も悪くはない。


毎日会っていた人を見かけなくなる。
そんな当たり前の状況が、彼女の心を締め付けた。


夏生は元気にしているのだろうか。


夏生は東京の大学に行った。大都会でちゃんと暮らしていけてるのだろうか?
一人暮し…。
華波はしたことがなかった。どんな感じなのだろう?


四月の終わり、彼女は決断した。
わずかなお金を握りしめて、夜行バスの切符を買いに行った。



「もしもし。」
か細くなる声。
「おぅ、元気か?」
暗闇に響く優しい声。
電話でしか繋げない気持ちが辛かった。


「本当か!?じゃあ、出ておいで!!」
明るくなる声。


島から出て、ずっと聞いてなかった方言のぬくもり。夏生の声に抱きしめられて、甘やかな眠りにつく瞬間の幸せ。


一週間後には会える。

華波はそれだけで、涙が止まらなかった。

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