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航宙機動部隊9

[557]  まっかつ  2006-11-17投稿
『宜しいですかな』 眼下に小川を見下ろせる、風光名媚な瓦葺きの屋根付きテラスの中である。 シャンパンを満たしたクリスタルグラスを片手に、一人の男がにじり寄って来たが、リクは大して驚かなかった。 彼がこうして、声をかけて来るのは、これで三度目だったからだ。 しかし、この人物に与えられた肩書きは、礼節に値するものではあったので、 『議長殿…』 リクは深々と頭を下げた。 パレオス星邦は、長年に及ぶ平和と繁栄の中で、星民の公共に対する関心は、とうの昔に失われ、面倒な社会奉仕は一部の政治家に丸投げされ、政治家はその実質を、官僚達に押し付けてやって来た。 世襲化した官界が、この国の要路を押さえているのは、だから、驚くのに価しない。 驚くべきなのは、このパレオス星邦・星民会議々長にして、元首代行職を勤める、ペアリ―ノ=グイッチャルディ―ニ氏の、外交手腕と決断力であっただろう。 統合宇宙軍の一方的な要求と挑発を確認すると、彼は、先手を打って、銀河中央域へ救援の要請を発し、星系合衆国に接触して、加盟を果たした。 この恰服の良い、磊楽かつふんだんの愛嬌と、時折匂わせる、職業的なダ―ティ―さの微香を放つ、初老の政治家兼経済学者こそが、パレオス星邦の主体的行動力の八割であり、宙際的発言力の全てであった。 『独立不覊とは申しましても、やはり寄らば大樹ですな。遅ればせながら、時代の流れでしたかな。ようやく気付いた訳でして』 グイッチャルディ―ニ氏は、ここでシャンパンの残りを一口で飲み干して、すぐに話を続けた。 『長年の平和が祟りましたな。否、貴国の様に、普段から備えを怠らずにいるべきでしたな。そう言う声は、前々から少しはあったのですが、やはり、公に揃えるとなると、経常予算の枠では、とても支え切れない。星民を説得しようにも、来るか来ないか分からない侵略者の為に、増税や国債の割り当てに応じてくれる程、虫の良い話に耳を貸してくれるわけにも参らなかった訳でして』

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