【ナイト・オン・ドラグーン】封印の紅、背徳の黒。20説
今、アインが最も憎み、忌み嫌っている者の声が谷間に響いた。
「ジーク……!」
岩陰から、一斉に兵士や魔術師達が姿を現わす。
先回りされていたのだ。途中、翼を休める為に森に降りて休んだのが裏目に出た。
ジークは、宮殿から高速艇を休みなく飛ばしてきたのだろう。
「貴様の小賢しい企みが見抜けぬとでも?甘いわ」
うかつだった。アインとレグナが暮らしていた場所くらい、騎士団の記録を調べれば簡単にわかる。他に行くあてもないとなれば、そこで網を張るのは当然のことだった。
「馬鹿め。我々から逃げられるはずがなかろう」
ジークが片手を挙げる。弓兵たちが一斉に矢をつがえ、魔術師たちが杖を構える。
頭上に目をやると、いつの間にか空中兵器が狭い渓谷の空を埋め尽くしていた。
これではレグナが降りられない。下手に近づけば、格好の的にされてしまう。
アインは剣を抜き、じりじりと後ずさった。この数相手に逃げきれるとは思えなかった。かといって、戦って勝てるとも思えない。
しかし、戦うしかない。剣を強く握り、構えたときだった。
突然、大地が鳴動した。縦横に走る亀裂から噴き出す白い霧。
「こちらへ!」
背後から低く鋭い声がアインを呼んだ。若い女の声。アインは声のほうへと走った。
「君は…?どうして俺を?」
「説明は後です、早く!」
女性の後を追って走った。
騎士団達は霧に視界を遮られ、錯乱しているようだった。
霧の中から抜け出すと、女は杖を振り上げ、すばやく呪文を詠唱した。と、目の前にあった岩壁が消え去り、洞窟の入口が現れた。
目眩ましの呪文で隠されていたのだ。
「この先です」
洞窟の先から光が見える。外に通じているらしい。中はほぼ一直線に掘られていて、走れば出口までいくらもかからなかった。
「外は狭い道ですから、気をつけて。道沿いにしばらく下れば、身を隠す場所があります」
彼女の言うとおり、洞窟を抜けると山の中腹に沿って狭い道が続いている。
「追ってきてないか?」
大丈夫、と彼女は答えながら杖を振り上げる。洞窟の出口がかき消え、灰色の山肌へと変わった。
「たとえ追ってきても、彼らはこちら側には出られません。行きましょう」
「ぁ、ああ…それで君は、いったい…?」
「わたしはマナ。民を守る者」
「ジーク……!」
岩陰から、一斉に兵士や魔術師達が姿を現わす。
先回りされていたのだ。途中、翼を休める為に森に降りて休んだのが裏目に出た。
ジークは、宮殿から高速艇を休みなく飛ばしてきたのだろう。
「貴様の小賢しい企みが見抜けぬとでも?甘いわ」
うかつだった。アインとレグナが暮らしていた場所くらい、騎士団の記録を調べれば簡単にわかる。他に行くあてもないとなれば、そこで網を張るのは当然のことだった。
「馬鹿め。我々から逃げられるはずがなかろう」
ジークが片手を挙げる。弓兵たちが一斉に矢をつがえ、魔術師たちが杖を構える。
頭上に目をやると、いつの間にか空中兵器が狭い渓谷の空を埋め尽くしていた。
これではレグナが降りられない。下手に近づけば、格好の的にされてしまう。
アインは剣を抜き、じりじりと後ずさった。この数相手に逃げきれるとは思えなかった。かといって、戦って勝てるとも思えない。
しかし、戦うしかない。剣を強く握り、構えたときだった。
突然、大地が鳴動した。縦横に走る亀裂から噴き出す白い霧。
「こちらへ!」
背後から低く鋭い声がアインを呼んだ。若い女の声。アインは声のほうへと走った。
「君は…?どうして俺を?」
「説明は後です、早く!」
女性の後を追って走った。
騎士団達は霧に視界を遮られ、錯乱しているようだった。
霧の中から抜け出すと、女は杖を振り上げ、すばやく呪文を詠唱した。と、目の前にあった岩壁が消え去り、洞窟の入口が現れた。
目眩ましの呪文で隠されていたのだ。
「この先です」
洞窟の先から光が見える。外に通じているらしい。中はほぼ一直線に掘られていて、走れば出口までいくらもかからなかった。
「外は狭い道ですから、気をつけて。道沿いにしばらく下れば、身を隠す場所があります」
彼女の言うとおり、洞窟を抜けると山の中腹に沿って狭い道が続いている。
「追ってきてないか?」
大丈夫、と彼女は答えながら杖を振り上げる。洞窟の出口がかき消え、灰色の山肌へと変わった。
「たとえ追ってきても、彼らはこちら側には出られません。行きましょう」
「ぁ、ああ…それで君は、いったい…?」
「わたしはマナ。民を守る者」
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