*幸せな子猫の物語* 5
あ、矢田がいる。子猫とじゃれてる。
笑ってる…。意外と可愛いじゃない。
こっち向いた。あたしの名前呼んでる…。
「紅葉〜?」
友達の声であたしは夢から覚めた。
「…んァ〜…ふぁぁあ…。」
「ったく1時間爆睡!!夢でも見てたの?」
「え?なんで?」
「なんか可愛いとか言ってたから。」
あたしは耳が熱くなるのを感じた。
「そっか!あ、あたしトイレ行ってくる!」
疑いの目をしている友達を残してあたしは
トイレには向かわず先生の所へと急いだ。
「お、紅葉じゃねぇかよ。」
資料か何かを書いている手を止めて先生は
あたしのほうへと目をやった。
「先生さ…その義弟とかいないの…?」
少し驚いた様子が見えた気がした。
先生は平然とした様子で答えた。
「いないよ。」
その後は適当に話をして別れた。
あたしは脱力感に見舞われていた。
先生に嘘をつかれた信用されてないんだ。
あたしはその日、先生から来たメールに
返事はしなかった。
―次の日―\r
学校へ行く気がしなかった。先生に会いたくなかった。親に言ったが聞いてもらえなかった。そして先生に会わないように
裏門から入った。誰の姿も見当たらないのであたしは安心した。
「お、紅葉。」
あたしは振り返った。すると後ろに先生が
いた。
「昨日メールしたんだが…なんか用事でも
あったのか?」
「あ、えっと…。」
「おい、華風!遅刻するぞ!」
いきなり手を引っ張られた。その引っ張った主の顔を見てみると矢田だった。
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