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相手にされない?

[1539]  三味線  2005-03-19投稿
 一人暮らしの男が、漫画を描いていた。歳は二十歳前後といったところで、彼は今、漫画家を目指して努力中である。本棚には漫画がずらりと並んでいて、別の本棚には自分の描いた漫画が入っていた。そこにおいてある漫画は、彼自身が失敗作だと思ったものである。
 彼の名は三原慎治、漫画を描き始めてから、かれこれ5年になる。彼の目指す漫画家、その道のりは思った以上に険しく、何を描いても誰にも相手にされなかった。振り返ってみればそれもそうだろう、と思える作品ばかりなのだが、誰にも見てもらえないというのがショックだった。
 そして今彼が書いているのは自分の中でも最高傑作と思える作品だ。絵はきれいで、ストーリー展開も独自なもので面白かったため、彼は今度それを出版社に持っていこうとしていた。なぜその出版社を選んだのかというと、そこは初心者が書いたものでも結構本にしてもらえているからだ。ただ、売れ行きはあまりよくない。経営状態もギリギリといったところだ。そこで彼はこの自信作を完成させてその出版社に持って行き、本にしてもらって不特定多数の人にも読んでもらおう、という考えを抱いていた。考えというよりはむしろ大きな夢である。
 そんなこんなで描き始めてから1ヵ月半、読みきりの長編漫画が完成した。慎治自身、何度読み返してもバッチグーといえるものだった。今まで自分が描いてきたのが落書きに見えるほどの超大作だと自負し、踊るような足取りでその出版社に持っていった。
 一方、その出版社に来る人たちは現段階ではかなり限られてきていて、出版される本もいつも同じ人が描いているものばかりだった。最初は初心者ばかり集めていたのだが、それでは会社の経営に負担がかかるという理由で、そこそこ売れているものたちだけ残していったのである。もちろん初心者も受け入れているが、売れなければ勝手にいなくなる。そして別の出版社へ行き、大ヒットすることもある。
 そんなところに慎治は自分の超大作を持っていこうとしていた。必ずや大ヒットする、例え大ヒットしなくても印税くらいは入ってくるだろう。勝手に将来のことまで考えながら、彼はついに会社にたどり着いた。
「僕の夢はここから始まる。」
自信満々の口調で、顔は浮かれた感じだった。社内へ入ると彼は真面目な顔になり、編集部へ行った。

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