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万華鏡(8話)

[288]  飛水  2006-11-22投稿
俺は家へと戻った‥
‥‥疲れた、とにかく疲れた。あの試合が遠い昔のように思えてくる。
頭がぼーっとして‥もう何も考えられない。
とりあえず寝たい‥全部悪い夢だと思いたい。
俺はベッドに倒れこんだ‥


(ピーンポーン‥)

『‥‥‥‥。』

(ピーンポーン‥‥)

『‥‥っ。‥はいっ!』

重たい体を起こし、大股で玄関へと向かう。
ドアを開ける。
美月がいた。彼女はパジャマ姿だった。

『‥おまえ、まだ起きてたのか‥』

時計は午前4時27分をさしている。

「電気‥見え‥たから」

『そうか‥。‥‥‥。』

‥心配させたくなかった。震える声を押し殺し、普通に話そうとした。

『‥瞬は大丈夫だから心配すんな。まだ麻酔から目覚めてないけど、大丈夫だからさ。』

「‥え????麻酔って‥なに?‥手術したの?」

目を合わせられなかった‥。合わせたら何もかも見透かされてしまいそうだった。

『‥‥あぁ‥』

‥自分の声が震えてきている。

「‥そ‥んな‥‥なんで‥‥なんなのっ?」

‥‥今まで押さえていた、やり切れない思いが美月へと爆発した。

『‥‥ぉ‥れだって‥俺だってわかんねーよ!!』

「‥りょ‥ぅ‥」

『俺もまだ混乱してんだよ!!‥‥落ち着いたら、落ち着いたらちゃんと話すから‥‥‥‥。』

美月の目には涙が溢れていた。

「‥‥ごめ‥」

美月は闇の中へと消えていった。

(‥‥‥はぁ‥。)
溜め息がもれる。
ドアを閉め、部屋に戻る。足元がふわふわしている。
布団に顔を埋める。


‥言い過ぎた。わざわざこんな遅くまで起きていてくれたのに‥‥あれはないと思う。マジ最低だ‥‥。


‥‥‥‥‥。
‥‥謝ろう。
んで、全部話そう。


俺はいつの間にか眠りに落ちていた。

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