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BAR-ラグーン03

[399]  最上  2006-11-26投稿
目の前で起こりえない事態を体感して足を止めない者はいない。この者達も例外ではない、が、ここを自分達の街だと思い込んでいるのだろう。その自負が一度止まった動きを再始動させた。

「野郎…ペスターに何しやがった!」
ペスターと呼ばれた男は地に這いつく張り、己が血で作った池に浸かっている。俺の言う事を聞かなかった罰が下ったのだ。

「この街でメドゥリオンのメンバーを殺したことを後悔しやがれぇ!」
黒髪を肩まで伸ばした射手はコートの中に忍ばせた拳銃を引き抜き俺の額に照準を定め−
銃声。街の静まった空気が恐怖で震え上がる。
しかし本当に震撼したのは引き金を引いた愚か者だった。
大口径から放たれた直径10ミリの弾丸は標的を捕らえる事無く、その標的の目の前で静止した。正確に言うと俺の指の中で。

「戦いたいのなら貴様等の軍団全員で俺と相対する事だ。さもなくば犬死にで終わることになるぞ」
俺の目は赤く、鮮血のような鈍い光を伴って底光りしていたように男達の目には映ったことだろう。

「ひっ、ひぃぃ!こっこいつ目が…人間じゃねぇ!」男達は尻尾を巻いて逃げていった。それも当然だ。この目をみて恐れない者は今のところ出会ったことがない。
“レッドアイ”−俺がそのように言われる由縁。そして店での合い言葉である。この赤い目だけは俺にもどれだけのものなのか未知数だ。
仕事の前に無駄な労力を使ってしまった。俺はスラム街の奥へ歩を進めた。

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