航宙機動部隊17
          『今、貴方が言った通り、蝶よ花よでやって行けるとは、とても思えないわ。だからこうして、自分で曲も創ってるの。使い捨てにされたくなければ、長く通用するモノを磨かなきゃね―人格や教養や品行も、世間に即いて行ける位は、求められる。ユ―モアやお笑いのセンスもなくちゃいけない。ファッションやメイクは、個性を確立して当たり前。正直食わず嫌いなんて、言ってられないわ?そう―ひとかどに成る為にね。例えそれが、貴方の気に障る事だとしてもね』             感銘に満ちた水紋が、少年の胸に広がった。                   この聡明さは、とても一五の少女の物ではない。               百歩譲っても、それに気付かず、今まで厄介物扱いしかしてこなかった、自分よりは、遥かに優るだろう。   いっそ、お互いの生誕順が逆転していた方が、余程釣り合う位だ。                   リクは、腕を組ながらも、まともに彼女に向き合って、複数の偏見を外した表情で、相手を見据えた。考えてみたら、公命で一緒になってから一五0何日間で、彼がこんな態度を取ったのは、初めてだった。            『悪いが、もう一つ訊かせてくれ―何だって芸能系ネッツで生きようと思うんだ?』     彼女の家門に鑑みて、祖国に居ても―否、居た方が、幸福なり栄華なりより簡単に求められた筈だ。        『貴方と同じよ。私だって、自分の境遇に満足じゃないわ?』     リクは意外さに、目をしばたたかせた。富貴と権威を生まれながらに約束された様な身が、気に入らんと考える人間に会うのは、始めてだった。        『そう、私の一門は、共和国宙邦屈指の内務官僚畑―司法や権力闘争で、何万と言う同胞を、殺しもしたし、監視もしてきたわ。だから、私、子供の頃から随分と仕返しに遇って来たわ。国法とはいえ、刑死した遺族からすれば、怨むのは当たり前よね?だから、慣れっこと言えば慣れっこなの―貴方みたいな、対応を受けるのはね』   初めて真実を知って、冷遇の主は、羞恥にさいなまされた。流石に、何十人目かの追い討ちを楽しむ程の、悪趣味はもてなかった。『じゃあ、俺は、逆差別に走ってたって分けか…なあ、それなら、何故元老院に上告しなかった?』           『貴方はまだ良い方よ。なにげに気を遣ってくれてるじゃない?』       
      
      
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