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宇宙戦隊・33

[447]  豆宮  2006-11-27投稿
星屑の上のその男は20代前半だろうか。黒く長い髪を一つに束ね、サラシを巻いた体に黒いベストのような物を羽織り、白い袴と下駄をはいている。無精髭を生やし、眼光は鋭く、髪と同じ黒い瞳がやたら不気味に見えた。
そして何より気になる物…それは男の足元に転がっている、布を巻かれた“何か”…。その“何か”は布の上からでも人の形をしているのが分かった。
「武器かもしれない、気をつけろ」
テシはあえてテチだけに耳打ちした。つくづくこいつはひねくれているなとコウは思ったが、今は目の前の出来事の方が重要だ。

「手をあげろ。妙な動きをしたらすぐに撃つ」
低い声でテシが忠告する。男は渋々従った。
「怪しい者やないって…助けてほしいだけなのに」
「まずは質問に答えろ」
「おう、何でも聞け〜」
この状況においても男は緊張した様子を見せなかった。
「なぜここに?」
「さあ」
「どこから来た」
「さあ」
「その足元の物は何だ」
「さあ」
「名前は」
「さあ」
「貴様っ…ふざけるな!」
しびれを切らしたテシが男の頭にマシンガンを突きつける。
「何すんねん!しゃあないやろ!」
「どういう意味だ」

「ここに来る前の記憶、無いからや」

男の言葉に三人は動揺した。
「記憶が無いだと!?そのような嘘が通用すると思うか!」
テシは男を信じられないらしく、今にもマシンガンを撃ち込みそうな勢いだ。
「俺の言う事が信じられへんのかい!」
コウには必死に訴える男の様子が嘘をついているようには見えなかった。
「テシ…一応信じてやろうぜ。悪い奴には見えねぇし嘘もついてない気がする。それによく言うじゃねえか、嘘も方便ってな」
「コウ…何かよく分かんないけどその言葉の使い方違う気がする…」
男を擁護する姿勢のコウとテチにテシは猛反発した。
「二人共さっきの光を見ただろう?あれは今回の事件とこの男に関係するに違いない!」
「でも証拠が無いだろ?」
「うっ…」
「とりあえずこいつ連れて一度メリードまで戻らねぇか?。サリとかなら何か分かるかもしれないし…これでこいつが無実だったらお前も面目丸潰れだろ?」
さっきの仕返しと言わんばかりに責めたてると、テシは悔しそうに唸ってコウを睨んだ。
「コウ殿…“何かあった場合は責任取ってもらう”ぞ」
さっきコウに言われた言葉をそのまま返すのがテシの精一杯の反撃だった。

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