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【ナイト・オン・ドラグーン】Story†26

[552]  ミルクボーイ  2006-11-27投稿
「金目のもんは全部奪ったな?」
「バッチリだ!」
山賊達は彼を囲みながら口々に喋る。
すでに亡くなっている両親を庇うように彼はうずくまっていた。
「さて、残りの村人はこの小僧だけだな。」山賊の頭角らしき男が言う。
下っ端達が武器をそれぞれに構えた。
「…さま…」
彼は怒りに打ち震えた。
「なんか言ったか?」
「貴様らぁぁ!!!」立ち上がり、剣を抜いた。その矛先は頭角らしき山賊。
が、彼の動きが止まる。
腹に激痛が走った。
ニヤリと山賊が笑う。
自分に向かって腕を突き出している。
山賊の剣が彼の腹を貫いていた。
血に染まった剣が引き抜かれ、彼は膝をついた。
「っぁ…!?」
激痛が走り、息するだけで苦しい。そしてなによりも傷口が熱い。「雑魚が意気がるからだ。死ね」

彼は必死で立ち上がろうとするが、足に力が入らない。
(俺は死ぬわけには…)
だが、無数の刃が彼を貫いた。
「ぐぁっ!」
全身のあちこちに走る激痛。
気が遠くなり、目が霞む。
血の流れを感じる。
土の匂いが鼻につく。なにもかも真っ暗になり、すべての感覚が弱くなっていった。
彼は悟った。自分の死が近いことを…
薄れていく意識の中で彼は悔やんだ。
(死にたくない…死にたくない!嫌だ。死にたくない!!力さえあれば…あんな奴…ら。)

『力が欲しいか?』
何が囁いてきた。
(誰…だ…?)
目を開けようとするがそれも叶わない。自分は確実に死に近づいている。
『我はウンディーネ、水を司る者。』
(そう…か。俺はもうじきに死ぬ…も…う………。)
『フンっ…まぁいい。勝手に”契約”するとしよう』
そうゆうと、ウンディーネは呪文を永昌し、彼の左胸から光の塊を取り出し、そして自分の左胸からも同じように塊を取り出し、互いの光を交換した。
『契約終了っと。』

「引き揚げるぞ、野郎ども。」
一斉に山賊達が返事をし、その場を立ち去ろうとする。が、一人の山賊が悲鳴を上げた。血飛沫が飛散する。
山賊が倒れた先には、さっき山賊達が斬殺したはずの男が立っていた。
「なっ!?」
山賊達が驚愕の声を上げる。男の回りを何か蒼い物が飛び回っていた。
そして何よりも、狂気に満ちた表情をしていた。
「自己紹介まだだったなぁ…名は、”ギース”だ!」

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