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Jumpin' Five 16

[351]  曽根菜由美  2006-11-27投稿
 頭がすごく重い。美加がしきりに背中をさすってくれたおかげで、吐き気はだいぶおさまってきた。廊下にある長いすに横になり、しばらく休んだ。
「貧血だから、すぐ良くなるよ。」
美加はそう言ってくれた。私も貧血は慣れてるけど、こんな吐き気がひどいのは久々だった。美加のおかげで助かったっていう感じだった。
「大丈夫?曽根さんは?」
岩田さんが、入り口の扉を少し開け、美加に声をかけていた。
「貧血起こしたみたいなんで、大丈夫だと思います。」
「びっくりしたよ。ほとんど倒れていったんだもん。…まだ病気治ってないんじゃないかとも思ったけど…ほんとに大丈夫?」
岩田さんはすごく心配してくれていた。あとから富山くんも来て、心配そうに私を見ていた。
「無理しないでいいよ。少し落ちついたら、山内さんといっしょに帰ってもいいよ。」
「あ、大丈夫です。」
私は、か細い声でそう言った。貧血ならすぐ良くなる。また過信してるけど。
 結局、私がぶっ倒れたせいで、アンサンブルの曲は一回しか通せなかった。岩田さんをはじめ、美加にも富山くんにも悪いことをした。
 私が倒れてまもなく、進一さんによる合奏が始まったのだ。

♪  ♪  ♪

 午前中の練習が終わるまで、私は廊下で寝ていた。
 美加の言うとおり、1時間ほど寝ていたおかげで、すごく楽になったのだ。その代わり、すごく喉が渇いていて、ゆっくり立ち上がり、近くの冷水機のところまで行こうとしていた。そのとき、反対側の入り口から、コンダクター進一さんが出てきた。あの色白さ、そしてマンガで言うとかりあげ君に良く似ている輪郭(お、怒られそう)、黒ぶちの、顔のわりに大きな眼鏡。そして、その私好みの容貌の彼は、私の方に気を取られ、こっちへ歩み寄ってきた。

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