携帯小説!(PC版)

海と空

[468]  2006-11-28投稿
遠くに一羽の鴎が翼を力一杯にピンと広げ、まるで小さな飛行機のように 風を操り空をとんでいた。風が心地よい海の爽やかな香りを私に届けてくれている。鴎もどことなく私を歓迎してくれているようだ。悠々と気持ちよさそうに空と風を楽しんでいる。私は今、小高い丘の上に一人立ち一人思いにふけながら、自然の中で今生きている事を感じている。ふと昔訪れたニュージーランドの空気が吸いたくなった。昔と変わらない穏やかな時間がそこには流れていた。私はここに以前学生の頃留学で訪れていた。そして彼女とであった。彼女は韓国からの留学生だった。黒髪が綺麗で鼻は高くはないが 声はなんともいえない優しいトーンで私を癒してくれた。彼女と出会って話した瞬間から私のニュージーランドでの生活は 彼女で一杯になった。彼女の夢は客室乗務員になることだった。昔でいうスチュワーデスのことだ。彼女はとても勉強熱心だったし、英語も流暢で 容姿も申し分なかった。
彼女が客室乗務員になった姿を想像しては胸が締め付けられた。 しかし彼女はもうこの地球上にはいない。それは 突然の事だった。いつも通り学校から帰る途中に 不慮の事故にあった。突然私の前に現れた彼女は突然私の前から消えて天国へ旅だった。 私は彼女に生前教えてもらっていた、丘にのぼった。そこからは海が眼下一面に広がり遠くを見渡せば、地球が丸い事がわかりそうなくらいだった。青空が一面に広がり白い柔らかなちぎれ雲がいくつか浮いていた。きっと彼女は 幸せだったんだとその時、肌を撫でる風に感じた。海の爽やかな香りがしていた。
あれから12年の歳月が過ぎた。その場所は今も変わっていなかった。今、私はその丘に立ち彼女の事を想っている。突然激しいスコールになった。激しい雨と風にうたれながら私は立ち尽くしていた。しばらくすると雲の切れ間から太陽の眩しい光が線を成して天から注がれてきた。ふと風が穏やかになり、海が優しい波の音を奏でた。先程の鴎が翼をピンと広げ空高く遠く彼方へ飛んでいった。まるで夢を乗せた小さい飛行機のように。爽快に風を滑るように。私は彼女のことをわすれない。ずっと心の中で生き続けていく。私がその場 をあとにしようとしたその時、爽やかな風が吹いた。振り返るとそこには海と空が変わらず悠々とそして優しく広がっていた。頬を撫でる風は海と空の爽やかな香りがした。

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