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航宙機動部隊19

[453]  まっかつ  2006-11-29投稿
第四世皇帝エタンは、総旗艦《スタニドルフ》内の、皇帝執務室にいた。 このスペ―スも、先の会議区画に匹敵する広さを持ち、機能性と快適性の調和が取れた、洗練された空間だったが、この位だったら、中央域の文化水準で言えば、中堅惑星のビジネスホテル並に、実はありふれている。 敢えて豪華な物を探せば、スペ―スの最奥、照明と映像膜を兼ねた、多機能壁の前に置かれた、紫檀製の古風なデスク一つだけだ。 七年前、ここに運び込まれた戦利品だった。 エタンはそこで、広げられた幾種類もの、印刷資料に目を通していた。 『大本営次長殿、御入室』 張りの良い声で放送が入ると、エタンは、パネルカ―ドを手にして、了承の信号を送った。 このスペ―ス内に今いるのは、彼のみである。 三重の波長中和型・防磁膜システムが、その肉体と精神を、完璧に守ってはいた。 味も素っ気もない、耐電磁・防弾ドアが開き、帝国ナンバ―2が、軍人らしい足取りで入って来て、慣れた様子で、敬礼をし、エタンも、答礼で応じた。 この年30才。最外縁《タルタロス》全域に霸権を及ぼし、五0億星民の頭上に君臨する、専制軍事大国の元首は、外見上はしかし、コ―ヒ―色の頭髪と眉目を持つ、温厚そうな青年以上の姿ではなかった。 『方針は、決まりましたか?』 この辺境では考えられない、丁寧な言葉が、その口から流れた。 帝国はこれまで、健軍以来三代の君主の統治を経験して来た。 どこまでも戦士であり続けようとし、肉体の衰えを拒んで、自ら壮絶な爆死を選んだ、第一世ク―ク。 その神算鬼謀を敵のみならず、味方からも恐れられた、『騙しの天才』こと第二代ブッチャ―。 『オ―ガナイザ―』とあだ名され、帝国史上初めて、まともな計算のもと、軍の機構を整備した、秀才型の戦略家、第三代テロン。 そして現在、玉座ならぬ備え付けの士官仕様・肘掛け椅子の主たる四代目は― 『あらゆる可能性を追求致しましたが、やはり、九0日後には、我等の勝算は、全くなくなってしまうでしょう』 スコットの見解は、悲観に満ちていた。

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