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フェニックス 12

[475]  導夢  2006-11-29投稿
不敵に笑うクロノスと呼ばれた男。
――、クロノスとは個人名ではなく、種全体を指す言葉で、モンスターが進化した姿だと言われている。見た目は人に酷似しているが、人間に対し好戦的で長命、特殊な能力を備えていることが多い。先ほどの空間跳躍も特殊能力の一端だ。
そして、長年学者達の間で悲願とされているのが、最強のモンスターとされる龍族や巨人族、特に一部では神の化身とさえ言われる原種古龍族やハイ・タイタン(または上位巨人族)のクロノスの発見だ。しかし、そんなのと遭遇して生きて帰れるか疑問だ。

「俺をクロノスと呼ぶのはやめろ。お前達が勝手に付けた名など気分が悪い。」
憎悪をむき出しにしたかと思うと、誇らしげに
「ヴァロールだ。魔眼のヴァロール」
姿が消え、
「そう呼べ、人間」
殺意そのままの声が囁く様に後ろで聞こえた。
ドッと全身から冷や汗が吹き出し、ゼノスは振り向きながらの斬撃。それを手の平で受け止める。正確には数ミリ手前で止まっていた。
相当な力を剣に込めてはいるが、全く動かない。これも能力の一つか。
ゼノスとヴァロール、二人の眼が合ったその時、ヴァロールの眼が見開かれ、ドン!!っと、ハンマーで思いっきり頭を殴られた様な衝撃が走る。ゼノスの頭が後ろにのけ反り、耳や鼻孔から血が垂れる。
さらに、ヴァロールの手がゼノスの腹部に触れた途端、錐揉み状に宙を舞う。受け身を取ることすら出来ずに地面に勢いよく叩き付けられた。
地面に手を着き立ち上がるゼノス。
ゆっくりと歩きながら
「戦いは始まったばかりだというのに、傷だらけじゃないか。どうした?人間」
嘲りながら問う。
「心配するな。これからが本番だ」
と、言ったものの負ったダメージは無視出来ない。このままではじり貧になるのは火をみるより明らかだ。
「全力で一気にかたをつける」
小さく呟き、走る。
ヴァロールの空間が歪む。
「させるか!」
スピードを上げた一撃は消え去る前にヴァロールを捕まえる。
「ちっ」
歪みが収まり、ヴァロールは跳んでかわすが、着地と同時にゼノスの剣。それを手の平を開き受け止める。
すかさず切り返しの一撃。
防ごうとするがヴァロールは間に合わない。ゼノスの剣は右肩から下を斬り飛ばす。身体能力ではヴァロールはクロウ=クルーウァッハに遠く及ばなかった。

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