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凛 さんの投稿された作品が10件見つかりました。
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負い目
結婚12年目にして女房に離婚を切り出された時俺は生きる気力をなくした。真面目だけが取り柄な俺。女房と子供三人のために仕事とバイトの掛け持ちをして、懸命に働いてきたつもりだった。だが、どう言い訳しようと、女房は俺を捨て他の男を選んだのだ。夫として男としても失格なんだと、言われてる気がした。離婚してからも、そんなことばかり、毎日考えては落ち込んでいた。まさか医者に『鬱病』と診断されるとは思わなかった
凛 さん作 [866] -
声
一年前の夏 私は愛する息子を不慮の事故で亡くした。今日は息子の命日である。午後2時。自宅の電話が鳴った。『母さん、オレ』聞き覚えのない男の声。男は『オレ』としか言わない。車で人を轢いてしまった。示談金が必要だから50万都合つけてほしいと泣きながら私に助けを求めてきた。なんてこと…よりにもよって、あの子の死んだ日に、あの子を装って、私から、お金を騙し取ろうとするなんて…私は、電話口の男に言った。『
凛 さん作 [597] -
動転
両親が法事で家を留守にした夜の事。私と兄は二階で寝ていた。夜中 兄に揺さぶられて目が覚めた。誰もいない一階で物音が聞こえるらしい。裏口のドアの鍵を閉め忘れたのかも知れない。泥棒…?ビクつく兄の背中を押しながら私達は忍び足で階段を下り様子を窺う。台所でゴトゴト音がする。暗闇でよく見えないが、人影らしき動く物体は認識できた。「誰だ」バットを片手に兄が叫んだ。同時に私が台所の電気をつける。人影が、こち
凛 さん作 [924] -
護身用です
お盆の夜 田舎に帰省するため夜道愛車を走らせていた。 車内は、ほどよくエアコンが効いてて快適だ。好きな音楽を聴きながら数年ぶりに帰る故郷に想いを馳せていた。時刻は夜の8時。 緩やかなカーブを曲がり山道を走っていた。突然 白い人影が車の前に飛び出してきた。 心臓が止まるほど驚いた。反射的に急ブレーキを踏んで車を停めた。 茶色いボサボサ髪の女が両手を上げて車の前に立っていた。青白く見えたのは青と白
凛 さん作 [904] -
能力者
大学生の弟が、珍しく家に女の子を連れてきた。 髪が長く細身で綺麗な女の子だった。 でかしたぞ、弟よ! 私は野次馬根性丸出しで弟の部屋にケーキを運んだ。弟はベッドの上で、背中を丸めて座り込んでいた。妙に怯えた目で周囲を窺っもていた。 女の子の方は部屋の中を、ぐるぐる回りながら天井や壁を見ていた。突然女の子が「数体いる。でも害はない」と弟に言った。「何とかしてよ」情けない声出す弟。「自業自得だ。死者
凛 さん作 [922] -
悲鳴
真夏の夜 事件は起きた。夜の10時頃 残業を終えた私は、重い足を引きずって家路に向かっていた。周囲は閑静な住宅街。上り坂もきつい。住宅が密集しているわりには歩道は狭く暗かった。油のように身体に纏わり付く汗が気持ち悪い。早く帰ってシャワーを浴びたい。ふと背後に人の気配を感じた。足音も聞こえた。角を曲がったまさにその瞬間 後ろから羽交い締めにされた。荒々しい鼻息と口臭 汗臭い体臭から男だと認識した。
凛 さん作 [1,005] -
狂気
蒸し暑い夏の夜。自宅の電話が鳴った。「もう勘弁して下さい」押し殺すような男の声。たまたま電話に出たのは私だった。 男は姉の会社の上司だと名乗った。姉と男は一年前から 不倫の関係にあった。 男の妻が妊娠したことを、きっかけに男は一方的に姉に別れを告げた。姉が異常なる行動に出たのは別れた直後数ケ月前からだという。男の携帯に姉からの執拗な嫌がらせ電話が、一日に何百回とかかってくるらしい。当然着信拒否に
凛 さん作 [629] -
孤独死
私の住むアパートに70代位の女性が一人暮らしをしていた。 名前はタエさん。 隣人ということもあり顔を合わす機会が何度かあった。 私は無愛想な質なので会釈する程度だがタエさんに懐かれていた。 娘と孫の自慢話には正直ウンザリしたが、顔をくしゃくしゃにして笑う姿は印象的だった。ベランダには鉢植えが所狭しと並べられ 朝早くから草花の世話するタエさんの鼻唄と雀のさえずりが聞こえたりした。 そんなタエさん
凛 さん作 [591] -
磨く
漫画も本に変わりない。けれど漫画しか読まないようでは困りもの。活字の世界は人間の想像力の枠を拡げさせる。考えてもわからなかったこと。曖昧で漠然としてて出せなかった答えを導いてくれるのが活字の世界だ。人間の心理描写を繊細に綴るのが映画や小説。ジャンルは何でもいい。観る、読むことによって考える姿勢に価値がある。言葉の表現力を養うために人との大切なコミュニケーションのために今宵も映画を観て本も読む。
へのへのもへじ さん作 [492] -
光と影
私の目にはオリンピック選手は痛々しく映る。テレビを観ると国民性で応援してしまうが…肉体を酷使するが故に、内蔵をボロボロにし、国の期待を背負って挑む精神力に頭が下がる。選手が抱え込むプレッシャーが、いかなる重圧か想像するだけでも鳥肌が立つ。戦場に向かう兵士のように私の目には映る。お国のため家族の名誉のため。応援してくれる人々のため。力いっぱい頑張ります。怖いよー苦しいんだよー 本当は逃げ出したいん
へのへのもへじ さん作 [520]
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