携帯小説!(スマートフォン版)

トップページ >> 矢口 沙緒さんの一覧

矢口 沙緒さんの投稿された作品が226件見つかりました。

 
  • 欲望という名のゲーム?36

    明彦はボードゲームのある三階の三号室にいた。何列もの棚に、隙間なくゲームが並べられている。この中に、猫に関係したゲームがあるのではないか?あるいは、ずばり『パブロ』という名のゲームがあるのではないか?彼はそう考えていた。膨大な量のゲームだった。しかも半数近くは輸入品らしく、日本語の説明書も付いていない物がざらだった。そのひとつひとつを、彼は丹念に見て回った。そして、この部屋のゲームを全て見終え、
    矢口 沙緒 さん作 [408]
  • 欲望という名のゲーム?36

    「兄は何て言ってた?」「単なる遊びだと。それ以上は、何もおっしゃいませんでした」「ふぅん、何も言わなかったの…」深雪はしばらく考え込んでいたが、煙草を灰皿に押し付けると、鹿島を見上げた。「ねぇ、鹿島さん。こっちに座らない?」声の調子が、さっきとはだいぶ違う。女性の武器のひとつである、いくらか鼻に掛かった甘い声。そして、甘い物ほど体には悪いのだ。「私はここで結構です」鹿島は毅然とした態度で言った。
    矢口 沙緒 さん作 [411]
  • 欲望という名のゲーム?35

    第三章 三毛猫という名の駒    1四月十六日八時には、すでに鹿島も含めた全員が、朝食のテーブルに着いていた。スープ、トースト、ベーコンエッグ、サラダ、それにコーヒー。誰も口をきく者はなく、無言のままの食事であった。先に食べ終わった明彦が、失礼も言わず食堂を出ようとするのを、鹿島が呼び止めた。「これからは各人が自由行動をとる事になりますが、夕食だけは六時にこの食堂にお集まりください。昼食は適当な
    矢口 沙緒 さん作 [403]
  • 欲望という名のゲーム?34

    明彦と喜久雄はすぐにベランダに興味を失い、再びリビングルームに戻った。明彦は勝手にホームバーのブランデーを飲み始める。喜久雄はソファーに座り、何か考え事をしているふうだ。その時、入り口のドアの下のほうで、カタカタと小さな音がした。今まで誰も気付かなかったが、ドアの下の部分に、縦横十五センチほどの観音開きの小さな戸があった。それがゆっくりと向こう側から開き、猫がひょいと顔を出した。「あら、あの猫」
    矢口 沙緒 さん作 [415]
  • 欲望という名のゲーム?33

    「最後に雅則様の自室をご案内いたします。と言いましても、この部屋には、私も入った事はありませんが」鹿島が廊下の突き当たりのドアを開けた。入るとすぐにリビングルームになっていた。左にはホームバーがあり、やはり洋酒が並んでいる。そしてソファー、テレビ、ビデオと、そのほとんどは各人が割り当てられた二階の部屋とたいした変わりはなかった。ただ、この部屋には左右にドアが一枚づつある。それともうひとつ、入り口
    矢口 沙緒 さん作 [421]
  • 欲望という名のゲーム?32

    「どうして兄貴が自分の物を取るんだ?」喜久雄が言った。「過去に訪れた客かなんかが取ったと考えるほうが、自然なんじゃないか?高価なチェスセットなんだろ」「それはないわよ。だって、これはセットだから価値があるんであって、白のクイーンだけを取っても、たいした意味はないわ。それに、この陳列台だけはガッチリ鍵が掛かってるし。簡単には取れないわよ。だからこれは、雅則兄さんが意識的に持ち出したんじゃないかしら
    矢口 沙緒 さん作 [414]
  • 欲望という名のゲーム?31

    五号室はこの屋敷の中でも特に異色だった。この部屋だけが畳敷きになっているのだ。上がり口で靴を脱ぐようになっている。中には将棋盤と碁盤がいくつも置いてあり、そして左の棚には将棋の駒が、右の棚には碁笥が多数あった。誰も靴を脱いでまで上がる者はなかった。六号室はまさにチェスの部屋だった。この部屋だけは棚ではなく、豪華な陳列台になっていて、百セット以上のチェスの駒が並べられてあった。もちろんオーソドック
    矢口 沙緒 さん作 [404]
  • 欲望という名のゲーム?30

    三階は中央に長い廊下が一本あり、その左右に三部屋づつ、そして廊下の突き当たりに一部屋と、計七部屋から成り立っていた。右側の三部屋のドアに1、2、3と順に、左側のドアには4、5、6と、やはりそれぞれ番号が打ってあった。正面のドアには何も書かれていない。「左右の六部屋には、雅則様のゲームコレクションが収められております。正面の部屋は雅則様の自室です」鹿島を先頭にした一行は、順に一号室から回る事にした
    矢口 沙緒 さん作 [400]
  • 欲望という名のゲーム?29

    「この貯蔵庫の広さは、屋敷の敷地面積とほぼ同等です。ここにいったい何万本のワインがあるのか私は知りません。おそらく雅則様も、その正確な数までは知らなかったでしょう。このワインのほとんどは、屋敷の前の持ち主の物だったのです。雅則様が屋敷をお買いになられた時、このワインのコレクションも一緒に引き取られました。というよりも、むしろこのワインのコレクションがあったからこそ、それを屋敷ごと買われたといった
    矢口 沙緒 さん作 [420]
  • 欲望という名のゲーム?28

    五人はぐるっと中をひと回りした。確かにほとんどがゲームの関係書だった。将棋、碁は勿論のこと麻雀、トランプ、チェス、ボードゲーム、あるいはコンピューターゲームに関する本、洋書も多数あり、これもまたゲームの本のようだった。あとはミステリー小説、ワインあるいは洋酒に関する本、パズルの本、料理の本、絵画の本、などである。「料理の本は、全部牧野さんの本ですね」鹿島が付け加えた。「そしてこちらに並んでいます
    矢口 沙緒 さん作 [422]
 
利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス