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矢口 沙緒さんの投稿された作品が226件見つかりました。

 
  • 欲望という名のゲーム?27

        2「ここがこの屋敷の中央広間になります。一般的にホールと呼ばれる場所です」鹿島が説明を始めた。まるで博物館を見学する小団体と、それを引率する係員のようだ。「あちらが正面入り口、そしてこちらを中央階段と呼んでいます。彼はいちいち手で示しながら説明を加える。「この一階には、先ほどの食堂のほかに、応接室と図書室があります。まず応接室からご案内いたします。こちらへ」鹿島は中央階段に向かって右側の
    矢口 沙緒 さん作 [345]
  • 欲望という名のゲーム?26

    鹿島がテレビのスイッチを切った。「今の説明にもありました通り、今日を含めて七日目が有効期限の限度となります。今日が四月の十五日ですから、従って四月二十一日が最終日となります。四月二十二日では手続きが間に合いません。この事だけは、はっきりと認識しておいてください」「七日の期限。おまけにヒントは猫ときた」明彦がグラスのワインを一気に空けた。「実質的には六日ですよ。今日はほとんど終わりですからね」喜久
    矢口 沙緒 さん作 [399]
  • 欲望という名のゲーム?25

    「だがね、この首輪に意味はないよ。これは私の屋敷に所属しているという印にすぎない。従ってこの首輪には、仕掛けも手掛かりもない。だから、やたらとこいつを捕まえたりするのは、止めてもらいたい。肝心なのは、こいつが『三毛猫』で、そして名前が『パブロ』だという事だけだ。しかし、これだけではちょっと難しいだろう。だから、日を追うごとに少しずつヒントを出していくとしよう」彼はテーブルの下に猫を戻すと、またワ
    矢口 沙緒 さん作 [362]
  • 欲望という名のゲーム?24

    「ではさっそくゲームの詳しい説明に移ろう。まず宝を隠してある範囲だが、それはこの屋敷及びその周囲の庭とする。つまり、庭を取り巻くあの林は『O・B』という事だね。勿論あの一本道も除外する。次に特別除外エリアについて説明しておこう。この特別除外エリアとは、この屋敷の中にあって、絶対に宝を隠していないという場所の事だ。まず、二階の一号室から六号室までの六部屋が、これに相当する。ここを除外しておかないと
    矢口 沙緒 さん作 [347]
  • 欲望という名のゲーム?23

    第二章屋敷という名のゲーム盤    1「畜生!兄貴はなんて気違いじみた事を考えだしたんだ!」明彦がテーブルを強く叩いた。「でもさ、宝探しなんて、ちょっとワクワクするじゃない」友子が無責任な事を言う。「ちょっと、静かにしててよ!こんな馬鹿な事を止めさせる方法がないか、今考えてるんだから!」深雪がヒステリックに叫び、煙草に火を着けた。「それはちょっと無理みたい」孝子がアイスクリームの最後の一匙を口に
    矢口 沙緒 さん作 [375]
  • 欲望という名のゲーム?22

    「鹿島さんは勘違いをしているわ。私はゲームに参加したのではなくて、ただ財産を放棄しただけなのよ」「おっしゃっている意味が、分かりませんが?」「私は最初から財産を貰うつもりはなかったの。今のままでいいの。だからもし財産を四等分すると言っても、私はやっぱり放棄したわ」そこへ明彦、深雪、そして喜久雄と友子の順に食堂に帰ってきた。皆、無言のまま席に着くと、目の前に置かれた書類を読み始めた。「おい、弁護士
    矢口 沙緒 さん作 [354]
  • 欲望という名のゲーム?21

    「兄貴は本気なのか?こんな馬鹿げた、子供じみた事を本気でしようとしているのか?」明彦が鹿島に聞いた。鹿島はあっさりうなづいた。「兄さんは死ぬ前におかしくなったのよ。頭を癌に犯されたのよ。そうでしょ?」深雪の問いに、鹿島は首を横に振った。「雅則様は、最後までしっかりしていらっしゃいました」「そ、そうだ!」喜久雄が何かを思い付いて声を上げた。「ヒントだ。兄貴はヒントを出すって言ってたじゃないか。封筒
    矢口 沙緒 さん作 [397]
  • 欲望という名のゲーム?20

    「諸君達がサインした財産の放棄書は鹿島君が預かる。見事封筒を探し当てた者は、鹿島君に名乗り出てくれ。彼がその者の財産放棄書を処分してくれる。かくして、一通の有効な財産相続書と、三通の有効な財産放棄書が出来上がるわけだ。どうだね諸君。完璧だろう」「確かによく出来ているわ」孝子が感心したように言う。「それからね。私はもうひとつ書類を作ったよ。これはすでに鹿島君に預けてあるのだか、内容はこんなふうだ。
    矢口 沙緒 さん作 [411]
  • 欲望という名のゲーム?19

        5「正気なのか?」明彦が立ち上がって叫んだ。「どうかしてるんじゃない!」深雪が恐怖に近い声を出した。「狂ってる…」喜久雄が怯えるようにつぶやく。目を大きく開いた友子は、口を手で押さえたまま声も出ない。孝子は無言のまま、画面を凝視していた。画面の向こう側の雅則は、変わらぬ笑顔のままだった。「…さて、その方法だがね。ここに四枚の封筒がある」彼はそう言うと、上着の内ポケットから封筒を取りだし、
    矢口 沙緒 さん作 [422]
  • 欲望という名のゲーム?18

    ガタンと椅子が鳴る音がした。誰かが腰を浮かせたらしい。「私はゲームが好きだ。この世もまた、終わりなきゲームだと思っているよ。世界というゲーム盤の上で、人間という駒を使った、天空の神々がなされる、複雑にして遠大なゲームなのだと。歴史という名のゲームだよ。このゲームの中で雷音寺雅則という駒は、その役目が終わったらしい。だから盤上から取り除かれる時がきたのだ。それだけさ」雅則はワインを口に運んだ。「そ
    矢口 沙緒 さん作 [380]
 
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