携帯小説!(スマートフォン版)

トップページ >> 矢口 沙緒さんの一覧

矢口 沙緒さんの投稿された作品が226件見つかりました。

 
  • 欲望という名のゲーム?76

    「うーん、うまくかどうかは知らないけど、確実に抜ける方法ならあるわよ。まず、これが実際の迷路だとするわね。つまり、大きな広間の中を、板で細かく区切ったような、本当に人が歩けるような迷路。その場合、入り口に入った時に左手を壁に当てるの。そして、その左手を壁から絶対に離さないようにして歩けば、行き止まりをまた戻ったりして時間はかかるけど、必ず迷路から抜け出せるわ」「ふぅん、ほかには?」「そうね、この
    矢口 沙緒 さん作 [472]
  • 欲望という名のゲーム?75

    深雪は見取り図を見ながら考えた。雅則はテープの中で、しきりに『迷路』と言っていた。そして、このスマイル君が正しい『迷路の入り口』を示すとも言っている。彼女は以前に、屋敷の中にあるこれらを、見比べて歩いたことがある。少しでも違いがあれば、それが何かの手掛かりになるだろうと考えたからだった。しかしその結果は、全て同じ物だった。という事は、これには道順をたどる矢印のような役目はないという事だ。その様な
    矢口 沙緒 さん作 [453]
  • 欲望という名のゲーム?74

    雅則はテーブルの下にかがみ込み、よいしょと掛け声をかけ、何かをテーブルの上に持ち上げた。それは、あちこちのドアに下げられている、例の黒い金属製の雅則の笑顔だった。「この屋敷のいたる所に、これが下げられているのを、すでに諸君達は見て知っていると思う。どうかね。なかなかよく出来ているだろう」雅則はそう言って、それを自分の顔と並べて見せた。「これにも名前を付けるとしようか。…そうだな、笑っているから、
    矢口 沙緒 さん作 [412]
  • 欲望という名のゲーム?73

        3いつもの時間に夕食は始まった。しかし、昨夜とはやや様子が違う。今日は明彦の機嫌が良い。時々思いだした様にクスクスと笑う。そのたびに、深雪が明彦を睨み付ける。完全に立場が逆転した。喜久雄と友子は、いつも通り何かをコソコソと相談している。夕食が終わり、孝子にデザートが運ばれてくる。「アイスクリームのグラタンでございます」牧野が言う。「アイスクリームのグラタン?」「はい。グラタンと申しまして
    矢口 沙緒 さん作 [460]
  • 欲望という名のゲーム?72

    「どうなさいました、孝子様?」「やだ、左のコンタクトを落としちゃった」「コンタクトを…それはいけませんね。さっそく探しましょう」そう言って動こうとする鹿島を、孝子が手で制した。「あっ!動かないで!踏んじゃったら、替えがないから。大丈夫よ。私のすぐ下に落ちていると思うから」孝子はその場に両膝を着いて、手で床を撫で始めた。鹿島はその様子をしばらく見ていたが、どうする事も出来ないのを悟って、自分の作業
    矢口 沙緒 さん作 [440]
  • 欲望という名のゲーム?71

    図書室の掃除が終わった事を、孝子のいるトランプの部屋まで、牧野夫人が知らせにきてくれた。孝子は遊んでいたトランプを置くと、牧野夫人と一緒にホールまで降りて来た。孝子がホールに着くと、隅のほうで鹿島が、ガチャガチャと何かをしきりにやっている。「何をしてるの?鹿島さん」「いや、まいりました。深雪様が鎧をバラバラにしてしまって、そのまま放置して、行ってしまわれたのです。ほかの人も行ってしまわれて…結局
    矢口 沙緒 さん作 [439]
  • 欲望という名のゲーム?70

    深雪は鎧をガチャガチャと解体し始めた。それは思ったよりも複雑で、関節の部分などに小さな死角がたくさんあった。腕の部分、足の部分、胴の部分、裏を返したり、手でコツコツとたたいたりもした。その様子を四人は、遠巻きに見ている。それ以上近付くと、深雪が大声で騒ぐからだ。その根気強い作業を、彼女は一時間以上も続けた。すでに鎧は見る影もなく、鉄くずのような有り様に変化していた。そして、その作業に没頭する深雪
    矢口 沙緒 さん作 [444]
  • 欲望という名のゲーム?69

         2三階一号室を調べ尽くした喜久雄と友子は、なんら成果を得られないまま、がっくりと肩を落として部屋を出た。そして、廊下を走る深雪とぶつかりそうになった。深雪は二人にはまったく目もくれず、下に走り降りて行った。「どうしたんだ、深雪のやつ?」「深雪さん、血相かえてたわね」すると、ニ号室のドアが開いて、孝子が顔を出した。「深雪姉さん、見付けたかもしれないわよ」孝子の一言で、二人は深雪のあとを追
    矢口 沙緒 さん作 [438]
  • 欲望という名のゲーム?68

    「ほら、笑った!」「御免なさいね。ほんと、ごめん。雅則兄さんにも謝らなくっちゃね。でも、あんまりおかしくって…」そう言いながら、まだ笑う。「そんなにおかしいかしら?だって、女の人に髭があるのよ。あたしの頭じゃ、おかま以外何も浮かばないわ」「おかまっていうのは、見事な発想ね。でも、それもちょっと変よ、この場合。だって、おかまっていうのは、女っぽい男の人のことでしょ。つまり、そのベースは男なのよ。女
    矢口 沙緒 さん作 [477]
  • 欲望という名のゲーム?67

    「きっとこの中のクイーンに、何か手掛かりがあるはずよ」深雪は興奮してそう言うと、テーブルの上にトランプを広げた。「こ、これだわ!これが手掛かりよ!」深雪が指差したダイヤのクイーンには、なんと髭が書き込んであった。「姉さん、すごい!とうとう見付けたわね。…ところで、この髭なぁに?」「分かんないわよ。これから考えるのよ。あんたはどう思う?」「全然分からない」二人は、髭のある女王様を間に挟んで、すっか
    矢口 沙緒 さん作 [494]
 
利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス