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グルルルさんの投稿された作品が22件見つかりました。

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  • 愛してる

     いつも言葉だけが空回りする。口からでた感情は、いつだって驚くほど滑らかに飛び出していく。まるで判子のように、初めから押印できる形が決まってしまってるみたいに。自分の中にはその形しかないみたいに。「愛してる」 そう言われた時、この言葉はどれほど信じるに値するだろう。 この事は多分、疑いや悩みを持ったことがない人には分からないに違いない。 いや、そういう人は分からないのではなく、理解したくないだけな
    グルルルさん作 [802]
  • 眠り姫

    私は、待っている。いつか私を目覚めさせてくれる誰かを。私を不幸にする全てから守ってくれる王子様を。私の知恵や判断を必要としている民衆を。私の美貌にひかれる神々を。私は悠久の眠りについて待っている。世界の果ての古城の地下、夥しいまでの蔦に覆われた廃墟の、一際大きい奈落の下で。光りなき暗闇の底にある、鍵のかかった棺で、待っている。身に余る運命を背負った何者かの栄光や富、あるいは祝福を与えるために、私は
    グルルルさん作 [1,208]
  • ささめこと

     ゆるり、ゆるりと。 天蓋から垂れている紗幕が揺れていた。 天井にあるファンからの微風によって、窓から忍び入る穏やかな月光によって、半透明なスクリーンは色や形を絶えず変幻させていた。 その中のベッドに横たわっている私は、まるで自分が生きていないかのような錯覚を覚えている。 でも、死んでいるわけじゃないのも分かっていた。 ちなみに意識や感覚は正常に働いている。 私はそれを確信していた。それらの確から
    グルルルさん作 [793]
  • 世界の午後

    徹底的に無機な残骸と、荒野に次ぐ荒野。七色を内包してなお交じりあわず、冠された暗雲の天蓋。その最中で拠り所なく徘徊するだけの寂謬の風。さざ波だつ海の中にはなにものの影も生じない。それは、人間たちが生み出した文明と呼ばれたものの結果だった。かつて星の支配者と自称した生き物が欲望のままに突き進んだ繁栄の道の、その終着点。かつて支配者の同胞たちが延々と夢想を紡いできた地獄の光景。彼ら人類は繁栄の後、穏や
    グルルルさん作 [958]
  • 未踏の時間

    目をつぶれば、どしゃ降りの雨。その最中には、ずぶ濡れになった君の姿。君の体は震えていた。寒さに熱を奪われて、得体の知れない何かに怯えて。僕の体は錆ついていた。遠くから吹きつける風によって。足元にまとわる水溜まりによって。予感は一方的で、僕のセンサには感知できないまま、止まってしまっていた二人のダイアログそれは、劇的な出会いと同じ位に運命的であっけない別れとに終わった僕たちの影。いまではもう果てしな
    グルルルさん作 [902]
  • 遠吠えが呼ぶもの

     毎夜の丑三つ時、私の意識を目覚ましのアラームの如く目覚めさせるのは、遠くからうっすらと聞こえる車や電車の音とは明らかに異質な犬の遠吠えだった。 それは私が起きていようが寝ていようが関係なく、強制的に私の意識を自分に向けさせようとしているかの如く寂寥と飢餓を滲ませたような獣の声だった。 だから私は毎夜の午前二時にベッドから起き上がり、月明かりが差し込む部屋の窓をじっと見つめる。 すると例の声は、段
    グルルルさん作 [835]
  • 好きということ。

    「ねぇ、好きってどういうことだと思う? 」「どしたの急に。変なもんでも食った? 」「答えてよ〜」「……えー、あ〜、うーん。……相手の一部になりたい、もしくは自分の一部にしたいってことじゃない? しらんけど」「それってどゆこと?」「えっと、だからさ。例えば相手の男がカッコ良かったり、頭が良かったりして優良物件だったとしたらさ、そういう相手を自分の物に出来たら自分の価値とか実力を示せるじゃん」「つまり
    グルルルさん作 [818]
  • きみがいなくなる日。

     かつてその痛みは、理解してはいても、共感には程遠かった。 いくど経験しても、堪え難く慣れることのない痛み、癒えることない傷、一生埋まることのない空白。 それは、とても辛くて、しょうがないのに、どうしようもなく、逃れられない その日を、どんな覚悟を持って迎えたところで、揺らぐ気持ちを抑えるのは、到底不可能だ。 何が揺らいでいるのか? それは今までいた自分の世界。 永遠に揺らぐはずのないと信じた、で
    グルルルさん作 [715]
  • 説教がしたい。

     幸いなことかどうか、僕はまだ世間でオジサンと扱われない年齢なのだけれど、最近どうも他人に説教をしたい欲求が湧くことがある。 僕のイメージでは説教=オジサンという図式があるので、ならば、僕の心がオジサン化しているということか。 元来、人にズケズケとのを言うことが苦手な僕は多分に漏れず人見知りでもある。 だから、日頃、喉元に押し込めて抑圧している私的な感情を説教という形で吐き出したいかもしれない。 
    グルルルさん作 [697]
  • 純粋とは幻想に過ぎない

     これは、確認なのだけれど、純粋さは幻想だ。 「自分は汚れている」「自分は不純だ」と感じてしまった人間に生じる思い込み。 例えば、子ども。時に純粋さの象徴と扱われる彼らだが、彼ら自身は自分のことを純粋だとは決して思わない。 彼らの笑顔に純粋さを感じるのは、それを見つめる私たちだ。 私たちが「子ども」というものを、勝手に何か高尚なものと位置づけ、名づけてるにすぎない。 子どもだって「自らの利益のため
    グルルルさん作 [796]
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