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ゆうこ さんの投稿された作品が102件見つかりました。

 
  • リミット THREE 弐

    痛い…なんなの…。リノは自分が揺さぶられている事に、ぼんやりと腹を立てていた。荒っぽいわね…。しかし、それも束の間。目覚め始めた意識は瞬時に異常を感じとり、リノはガバっと身を起こして顔をしかめた。「おい!大丈夫か?」「ん…痛っ!」椅子に腰掛けていた筈が随分なげ出されていたことに気付く。立ち上がり、左の膝が悲鳴をあげた。その時になって、初めて自分を起こしていたのが男子生徒だと気付いた。「あの…あな
    ゆうこ さん作 [536]
  • リミット THREE 壱

    大橋 リノは深いため息をついていた。頬杖をついて、抜けるような青空を見上げながらもう一度ため息。やんなっちゃうよ…何もかも。肩まで伸ばした黒髪が、教室に入り込んできた春風に煽られる。窓際に咲いている桜が、リノを慰めるように花びらを届けた。それをそっとつまんで、フッと吹き上げる。乙女の感傷。自虐的な台詞を吐いて苦笑い。今は春休み。本来なら中学校に用はない。が、リノは来た。それは、リノが二年生の首席
    ゆうこ さん作 [595]
  • MY、スイートホーム

    私には家族がいる。妻の里沙と愛らしい盛りの娘、真奈。里沙は今だに魅力的でいつも優しい笑みを湛えて私を見送ってくれる。真奈は、たどたどしい言葉ながらも、一生懸命私に話し掛けてくれる。私達は幸せを絵に書いたような一家だ。私はその日も、いつもと変わらず会社に出かけていった。もうすぐ真奈の二歳の誕生日だ。何をあげよう…そんな事を会社の中でもつい、考えてしまっていた。そんな時、会社の同僚は妙に気を使うよう
    ゆうこ さん作 [717]
  • 蒼い月に揺れる 3

    私は世間で非常に穏やかな、分別を重んじる人間だと思われていた。だが、それはむしろ幼い頃から激情しない性格を引きずった結果のような気がする。私には何でも与えられていた。私の両親は他に子を作らず、私は溺愛されていたのだ。それを当たり前として受け止め、挫折も華々しい栄光も知らずに生きてきた。妻である真紀子に出会ったのはイラストレーターとして駆け出しだったころだ。目を引く美人ではなかったが、それなりに愛
    ゆうこ さん作 [366]
  • 電波ベイビー

    最近ってさ…なんでもメールで伝えられる。ちょっとしたアリガトウとかゴメンネとか。絵文字入ってないと安心できない、なんて子もざらでしょ?それってなんだっけ。えーと…あ、そう。イゾン、だっけ。おかしなもんじゃない?掲示板なんて古風な名前なのに、昨日知らなかった人ともう「お友達」ふふっ。変な時代。電波で始まって、電波で終わる。でね、本題。あたし、産んじゃったの…子供。ケータイって電波のなかで、生まれた
    ゆうこ さん作 [889]
  • 蒼い月に揺れる 2

    愛しい、という言葉では収まり切れない凶暴とも言える恋。私は小夜に出会い、狂おしいという意味を知った…夜ごとに震える心臓。とりとめのない会話のなかで、小夜がバレエを習っていること…コミュニケーションが苦手なこと…髪を弄ぶ癖のあることを知っていく。小夜の絵は、技術もさることながら繊細で独特だった。ロットリングで描く、細い細い線…。それは「蝶」を紡ぎ「花びら」を、そして「死」を紡いでいく。私はあるとき
    ゆうこ さん作 [394]
  • 君がいる 僕のすること

    後悔。している、と認めたところで逃れられない罪。僕だけじゃなかった、と言ったところで…言い訳にしかならない。僕は中学生の頃、取り返しのつかない罪を犯した…罪だとその時は気付きもしなかった。僕は、自分より弱い誰かを作っただけだ。たちの悪い奴らにとってどもり癖があり、分厚い眼鏡をかけていた僕は…恰好の餌食だった。だから。だから僕は…。親友を売った。あいつの母親が水商売をしていること、父親がアル中で前
    ゆうこ さん作 [764]
  • One-phrase

    ひとこと木の葉おちるときにいうのは またね炎つきるときいうのは さよなら星またたくのは こんにちは水、流れるのは 触れてみてわたし、聞こえるの花ひらくとき、風わたるとき、雪、薫るとき時、きざむのは あせらないで言葉つむぐのは ねぇわたしを知ってこころに避雷針をたてて存在きえるとき ごきげんよう脈絡ない言葉の羅列でも私は捕らえたい文字尽きるとき ありがとう
    ゆうこ さん作 [447]
  • 蒼い月に揺れる 1

    突然やってくる不幸。それは例えば事故であり親戚や身内の死であり…または、望まない恋だ。私は、今まさに打ちのめされていた。明るい月に照らされた、真白い木蓮の花の下で、彼女は青白く微笑んでいた。瀟洒な家の玄関に立ち、私を出迎えた彼女の全てが、私の「運命」を変えてしまった…。神崎 小夜小さい夜…彼女は月夜の精霊のようだ。「先生、ようこそ」銀糸を思わせる声に、内心震えが走った。磨かれた黒い両目に吸い込ま
    ゆうこ さん作 [447]
  • 少女と麒麟と青い空 〜最終章〜

    キリンは、確かに私の学校の生徒だった。だけど、それは5年も前の事で…。理由なく自殺したと思われているらしい。遺書には「僕の家の屋上で死ぬつもりだったけど、やっぱりここにした。僕は僕の大切な所を汚す訳にはいかないから」とだけ書いてあった。私はここまでを聞き出すのに、一週間かけていた…キリン、というのが彼の本当の名前だと知ったのはもっと早かったが。キリン…麒麟は、私に伝えたかったのだ。私のイジメはま
    ゆうこ さん作 [738]
 
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