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金太郎 さんの投稿された作品が133件見つかりました。
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星の蒼さは 43
やっと懲罰房から出してもらったハルだったが、気持ちは晴れなかった。一足前、基地の兵士と艦長が入ってきて、アキを連れていってしまったからだ。捕虜なのだから当たり前の事だ。でも心配だった。仲間達が「よかったな」や、「敵の捕虜だぞ。ほっとけよ」と口々に言ったがハルには殆ど聞こえていなかった。「・・・アキ」「緊張する必要はないわ。基地の収容所に入るだけ。あおかぜの中と変わらないから……」基地内の廊下を歩
金太郎 さん作 [501] -
星の蒼さは 42 第二話 エシュトノート
「准将、あおかぜが到着した模様です」待ち侘びましたね。とばかりに目を向ける秘書に対し土田光太郎は素っ気なく「んむ」とだけ返した。少し残念そうな顔をしながら秘書は土田の指示を待っていた。「今、準備をして行くからクルー達に休憩をとらせるように言ってくれ」「畏まりました」一礼をして出ていく秘書の背中を見つめ土田は息を吐きながら椅子にもたれかかり、机の上の万年筆を手の上で弄んだ。帰ってきてしまったか。率
金太郎 さん作 [520] -
星の蒼さは 41
月軍兵士アキはハルの説得で投降を決意した。撃たれたと思っていた野口は頭のてっぺんを焦がしただけで何ともなかった。アキを見て驚いたのは言うまでもないが、顔を真っ赤にする辺り、奥手ぶりが伺える。十分後、ハル達はあおかぜに拾われて帰還を果たす。英雄として迎えられたのは勿論だが、まさかその後懲罰房に放り込まれるとは思っていなかった。「命令無視」作戦を無視して無謀な突撃を敢行。撤退命令を無視して敵新型兵器
金太郎 さん作 [499] -
星の蒼さは 40
訳がわからなかった。今馬乗りになっている敵軍の女兵士が何故自分の名前を知っている?「……あ!!私の名前は知らないんだっけ。私の名前を教える前にハルは気を失っちゃったから」そう言うと彼女はゆっくりとヘルメットをとった。案外短いブロンドの髪が揺れ、兵士というには余りに若い顔が現れた。「私だよ。覚えてないかな。あの晩から二日も一緒にいたのに」ハルは息を飲んだ。忘れるはずがない。あの晩『UnHappyN
金太郎 さん作 [612] -
星の蒼さは 39
野口が撃たれた。ゴロゴロと転がり落ちていく野口を助けるより、まずはこの女(声からそう判断される)兵士を確保する事が先決だった。ヘルメットの下の顔は伺えないが、人を撃ってしまった事に相当ショックを受けている様だった。「棄てろ!」「来ないで!」今度は銃口をハルに向けて女兵士は威嚇する。「何もしない!」「嘘!」「嘘じゃ…!」ガーン!と火薬が破裂する音と共にすぐ後ろの機器が火花を散らす。死ぬ覚悟でハルは
金太郎 さん作 [509] -
星の蒼さは 38
「撃たないで!」銃をこちらに向けながら少女は騒いだ。ハルの銃はというと遥か後方、コクピットの入口付近に転がっている。驚いた拍子に取りこぼしたか、あるいはもっと前から落としていたのか。「撃たないでよぅ…!」「撃たないから!」フラフラ揺れる銃口の先に立たないように宥める。だが、「撃てないから。」とは言えなかった。かなり錯乱しており、危険な状況にある。「おーい!ハル?どうした?今の悲鳴」「うっ…」今の
金太郎 さん作 [491] -
星の蒼さは 37
「誰もいない?」コクピットの中に人影は認められなかった。どちらかというと、ハルはビビった。誰もいない?あり得ない!野口を呼ぼうとも思ったが、下手に弱気な所を見せると、後で何と言い触らされるかわかったものではない。ハルは細心の注意を払ってコクピット内部に身体を滑り込ませた。よく見ると零のコクピットとは全く異なる内部をしている。やけにコードの多い…まるで実験室のような…?「!」ハルの身体は完全に硬直
金太郎 さん作 [454] -
星の蒼さは 36
「ギャッハッハッハッ!!」「ざまぁ見やがれってんだ!ハッ!」パラシュートに掴まりながらハルと野口は地上に落ちてピクリとも動かない“堕”天使を見て大爆笑していた。まともに戦闘機2機の特攻を受けた“天使”は地上にまっ逆さまに落ちて機能を停止したのだ。「痛ェ!」“天使”の近くの地面に降り立った時、野口が足を押さえてうずくまった。あおかぜ艦内で靴をなくして裸足の右足に東京のコンクリートの残骸が刺さっ
金太郎 さん作 [501] -
星の蒼さは 35
再び放たれた「紅」の光がハル達に降り注ぐ事はなかった。発射の瞬間、あおかぜが放った3発のミサイルが直撃し、“天使”が態勢を崩したからだ。「直撃だぞ…!?」3発のミサイルの直撃を受けても“天使”は全く無傷だった。(何をやっているの!?早く引き上げて!)艦長が悲鳴を上げた。ダメだ……。ここで逃げたらダメだ。根拠はなかった。ただ純粋にカンと言う奴だ。ミサイル3発がダメなら…俺達にできる事は…いや、俺達
金太郎 さん作 [495] -
星の蒼さは 34
鉄すら燃やす超高温はあっという間に数十人の人間の命と身体をを強引に奪い去った。直撃を免れたハルも、その破壊力は、見るだけで十分理解できた。(なんなんだ…?なんなんだよ…)野口が呟く。(あの晩と全く同じじゃねぇか……!)ハルと同じくUnHappyNewYearを生き延びた野口も、この「紅」があの晩、東京に下された矢と同じものであると気付いている。(ふざけんじゃねェ…ふざけんじゃねェよ!!)激昂する
金太郎 さん作 [505]