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金太郎 さんの投稿された作品が133件見つかりました。
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星の蒼さは 13
「どうかしたの?」Windowsをシャットダウンしながら自動ドア越しに声の主を探る。やっと構ってもらったパソコンは一瞬パッと顔を輝かせたのも束の間、すぐに出されたシャットダウンの命令に機嫌悪そうに唸りながらそれに従った。「また…」「そう……」もう説明はいらない。またと言えば彼。「無理?」「無理です」「わかったわ。今行く」出港は明日だというのに、緊張感がない。白い詰襟の軍服を羽織り、ドアを開け
金太郎 さん作 [515] -
星の蒼さは 12
米軍の決定的敗北から二日後。 東京『それは不死鳥の如く』廃墟と化した首都東京。月軍太陽兵器「THE GOD OF DAY」がもたらした破壊はあらゆる意味で日本国を崩壊へと導いた。即死者500万人。これは最も幸せな最期を迎えた死者達と言えよう。測定不能の超高熱は肉体ごと一瞬で生命の魂魄と存在を否定し、肉を炭化させ、骨を溶かし、血を霧と化した。皮が爛れて水も飲めない、張り付き、汗腺を失った身体が異
金太郎 さん作 [526] -
星の蒼さは 11
月軍による電撃的な先制攻撃によって始まった戦争は人類が初めて経験した宇宙単位での戦争。後に「星海戦争」と呼ばれる。月のエネルギー源、巨大太陽発電機アマテラスを利用した超高熱兵器「THE GOD OF DAY」により北半球の主要都は焼き尽された。電撃的かつ怒濤の勢いで降下してきた月軍に対し、各国はもちろん国連すら有効な策が打てず2ヶ月が経過した。連続十回の大気圏往復が可能な戦艦を使ってな宇宙からの
金太郎 さん作 [578] -
星の蒼さは 10
去る11月22日、我が月が誇った有能な外務大臣レイチュル・ケネディが暗殺された。交渉の席すら与えない。これが同胞への仕打ちか?否、彼の浮浪者はレイチュルを家畜として見ていたのだ。だから、殺した」一度途切れ、エドワードは目元を拭った。「もはや、地球の同胞達は我々を仲間とみなしていない。地球が我々に交渉の場を与えないのならば、我々には交渉を強制する力は無い」目を落とし、もう一度カメラを睨み付けたエド
金太郎 さん作 [584] -
星の蒼さは 9
「どうして……こんな」あおかぜ艦長滝川恵美は呟いた。目に刺さる程まばゆかった東京のネオンは消え、かわりに燃え盛る樹木だけが暗闇を原始的に照らす。人、生物の存在を否定した暗黒とはかくも静かなものなのだろうか。「艦長。衛星中継で」「どうしたの?」「月大統領エドワード氏の公式演説です」「…映して」ブリッジのメイン画面に最近テレビで毎日見た横顔が映った。弱冠45歳で月と、その他居住衛星をまとめあげるカリ
金太郎 さん作 [586] -
星の蒼さは 8
航空巡洋艦あおかぜ・食堂(総員戦闘配備を継続しつつ待機せよ。本艦は先刻確認された熱量の調査に向かう。衛星及び現地との連携に混乱が生じているため、本艦は孤立した状態にある。警戒を怠るな。以上)新年早々ついてねえ。あおかぜ兵曹、若山剛志は口の中で呟いた。群馬の赤城山の山岳部隊との合同演習からの帰り道。いきなり任務が言い渡されたのだ。愚痴の一つもこぼしたくなる。とんでもない光と熱が東京で確認されたとは
金太郎 さん作 [613] -
星の蒼さは 7
なぜ今になって現れる?床の中の彼に問うた。『…私は貴方の妄想に過ぎないんですよ』赤い口腔が蠢き、彼は喋り返してきた。『私は貴方だ』「一緒にするな」ピシャリと言い放ち、土田は現実に戻ろうとした。『逃げますか?まるで今の地球人そのものですね』「なんだと」『結局、月へ、新世界へ渡った偉人達を、貴方たちは異人、奴隷としか見ていない。餌も満足に与えないのに、無理に飼い馴らそうとする。反撃に出られたら、殺す
金太郎 さん作 [603] -
星の蒼さは 6
日本軍関東司令部・成田「一体全体何が起こったというんだ!?」「わかりません!通信は完全に断絶、ですが通信断絶の直前、港区東京タワーを中心に測定不能の膨大な熱量を感知しました。准将、これは一体・・・!?」取り乱す通信兵に関東司令部司令官、土田光太郎准将は答えられなかった。「衛星写真を出せ!」「それが先程から呼び出しに返答がありません」「故障か!?馬鹿な!つい5ヶ月前に打ち上がったばかりの新品だぞ」
金太郎 さん作 [627] -
星の蒼さは 5
月は「我々は地球の一部であり、資源の共有をする権利がある」対し、地球の言い分は「月は行政特区であり、地球はその援助をするに過ぎない」お互いに譲らず数ヶ月の時が、やや月が有利な状況で続いた。その折り、ジョン・F・ケネディの孫の孫娘で超タカ派で知られた月政府外務大臣レイチュル・ケネディがエネルギーの問題について国連と決着を付けるためにニューヨークを訪れた。交渉成立か、決裂か。地球でもエネルギーを共有
金太郎 さん作 [658] -
星の蒼さは 4
我々の世界と別の、もっと高度な進化を遂げた『仮想21世紀』。人口爆発。食糧難。環境問題。様々な問題を抱えた人類はその目を宇宙に向ける。その先駆けとして開発が進められたのは月。長い年月と膨大な費用をかけ造られた月面行政区・通称ルナ。人種、老若男女問わずに全ての国家から多数の人々が移住を義務づけられた。この乱暴とも言える移住は多くの批判を集めだが、これによりどれ程地球が切羽詰まった状況であったかが容
金太郎 さん作 [629]