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水無月密 さんの投稿された作品が111件見つかりました。

 
  • 流狼−時の彷徨い人−No.54

     科学者達は当初、何の特徴もみられぬノアとハクに、これといった興味をしめさなかった。 だが、短命で終わるミュータントが多く生まれる中で、二つの生命体が安定して成長していくにつれ、彼等の関心は徐々に双子の姉弟へと向き始めた。 やがて科学者達は、姉弟の身体にそなわった特殊な能力に気付く。 二人の治癒能力が、異常に高いことに。 二人の能力の秘密は、その身体に流れる血液にあった。 遺伝子の干渉により変異
    水無月密 さん作 [470]
  • ベースボール・ラプソディ No.34

     石塚が打席にたつと、哲哉は即座に観察をはじめていた。 立ち位置、バットの握り方、骨格などを見極め、事前に得ていたデータと照合して石塚への配球を決めた。 内角高めに三速の直球を要求する哲哉。 それに小さくうなずくと、八雲は大きく振りかぶった。 哲哉がかまえたミットへ、吸い込まれるように突き進む白球。 石塚は微動だにせずにそれを見送った。 内角高めを苦手とする打者は多い。 だが、高校球児としては小
    水無月密 さん作 [607]
  • 流狼−時の彷徨い人−No.53

     この研究部門が設立された目的は、医学的観点から人体の構造を知ることにあった。 何世代にもわたり引き継がれることになるこの研究は、やがて遺伝子という身体の設計図の存在にたどり着く。 更なる研究の結果、科学者達はこの難解な設計図の解明に成功した。 これにより、遺伝による疾患の根絶や抗体を作り出す技術の確立などの成果をあげ、シャンバラの医学力を飛躍的に向上させた。 それで、当初の目的は達したはずであ
    水無月密 さん作 [436]
  • ベースボール・ラプソディ No.33

     ウェーティング・サークルへ向かう哲哉のと入れ代わりに、先頭打者の小早川がすごすごと戻ってきた。 彼はベンチにはいるなり、仲間達に頭をさげる。「……面目ない」 肩を落とす小早川に、八雲は笑顔で話しかけた。「初打席なんだ、打てなくたってしょうがないさ」 二番打者の遠山も呆気なく三振に終わり、哲哉は早々と打席に立つことになった。 その哲哉が狙っていたのは初球だった。 一、二番を簡単にしとめ、気分をよ
    水無月密 さん作 [585]
  • 流狼−時の彷徨い人−No.52

     ノアからの信頼をえて、半次郎は何時になく心が踊るのを感じていた。 今までにも人から信頼や共感をえて、気持ちの高揚を覚えたことはあった。 だが、この神秘的な女性からうけた感覚は、今までのものとはどこか違って思えた。 それが儚い恋心であった事に気付き、半次郎がそれを懐かしんで振り返るのは何年も後のことである。 ノアは蒼天の空をおもむろに見上げた。「……造り物ではあったが、シャンバラにも太陽は存在す
    水無月密 さん作 [427]
  • ベースボール・ラプソディ No.32

     地区予選初戦の日、目に映る空は初夏の訪れに満面の笑みを讃え、その蒼さに橘華ナインは心躍らせていた。 マウンドにたつ八雲は、球場を駆け抜ける南風を全身で感じ、その清々しさに笑顔をうかべていた。 この日の対戦相手である鈴宮工業高校は橘華とともに前評価が低く、注目度の低い試合になっていた。 そのため観客席は疎らで、野球観戦よりも初夏の風物詩を楽しむといった雰囲気であった。 だが、八雲の投球がその雰囲
    水無月密 さん作 [581]
  • 流狼−時の彷徨い人−No.51

    「信玄と政虎が手を組むことに意味があるのだから、その一事に執着するべきだったのだ。 だがオマエは私情から平常心を失い、判断を誤った。 …いいか半次郎、世を変えるということは、そこに存在する人の心を変革させるということだ。 それに必要な能力はただ二つ、人を正しく導く判断力と私事のない心。 剣や気の力では、決して人の心を導くことはできない」 ノアの言葉に、半次郎は交渉決裂した時の事を省みていた。『あ
    水無月密 さん作 [418]
  • ベースボール・ラプソディ No.31

     他の部員達も大原の存在に気付き、ベンチの周りに集まりだしていた。 その中で哲哉は、野球部がおかれている情況を大原に説明し始める。 今年の成覧野球部は、とにかく強すぎた。 その選手層の充実ぶりは、全国的にみても群を抜いているだろう。 そのチームに対し、まったく勝ち目が無いのならば、哲哉は苦悩しなかっただろう。 だが彼には、僅かではあっても確かな勝機がみえていた。 それ故に夜を徹して、勝算をあげる
    水無月密 さん作 [517]
  • 流狼−時の彷徨い人−No.50

     塞ぎ終えた故郷への入口を見据えるノアは、僅かに悲しげな表情をみせていた。 その胸中に去来するものは知る術もなかったが、物悲しげな彼女の美しさに半次郎はただ見入っていた。 ノアは普段の無機質な表情に戻ると、その眉目秀麗な顔を半次郎にむけて開口した。「ワタシが教えた気の理論は理解したようだな。後は自修自得で極めるがいい。 剣術についても同じだ、もともとワタシの剣は本能のおもむくままに振り回すだけの
    水無月密 さん作 [454]
  • ベースボール・ラプソディ No.30

    「真壁君がくる少し前からいましたよ」 穏やかな笑顔でこたえる大原。 八雲はそれを不思議そうに見つめていた。 野球に興味などなさそうなこの老教諭が、何故ここにいるのかが分からなかったからだが、すぐにその理由を思い出し、ポンッと手を叩いた。「あっ、そうか、大原先生に野球部の顧問を頼んだったっけ。 あまりにも顔ださないもんだから、すっかり忘れてたなぁ」 カラカラ笑う八雲。 その八雲の頭頂部を、大澤の鉄
    水無月密 さん作 [545]
 
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