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まりこ さんの投稿された作品が62件見つかりました。

 
  • 子どもは家を選べない〜その40〜

    ある種の告発の意味を込めて、小説として掲示してきたが、家庭内における陰湿な事象の数をあげるときりがない。 実在のモデルに、この小説を見せても、自分の過ちを認める輩ではない。 裁判が起きたとして、しらを切って埒があかない。 私どもができることは、早々に結衣子さんが房子や千鶴子と距離を置くことを勧めるだけなのである。 一方で、発覚した虐待の加害者が服す刑罰の徹底を急ぐことの二点に限る。 行政も警察
    真理康子 さん作 [785]
  • 子どもは家を選べない〜その39〜

    このような、結衣子さんが、曲がりなりにも家庭内での陰湿な事象に屈しないことが、彼女の成長過程で形成されていったことは、実に稀で、ある意味、勝者の成功事例である。 いかに、私ども、児童虐待防止アドバイザーの肩書きを持つ立場の人間が真剣に虐待をなくしたいと思っても、すべての家庭に入り込めるわけがない。 また、手遅れになったが、近所の通報を受けて家庭訪問をした仲間が、家族ぐるみの虐待が行われているの
    真理康子 さん作 [686]
  • 子どもは家を選べない〜その38〜

    結衣子が、この瞬間を克服し得たことで、生涯、この子を大切に想い続け、結果、何事にも屈することなく成長出来たことを通念で『守る対象が出来れば、人は強くなる』と解説したがるのは一理ある。 だが、本当に大切なことは、結衣子が、愛する相手を強く想って護ろうとした自分を、この小さな闘いの中で『愛せた』ということなのである。 つまり、無意識の内に、【全自分】を肯定し、受け入れ、愛せたのである。 【愛する
    真理康子 さん作 [786]
  • 子どもは家を選べない〜その37〜

    【彼】は、虫が嫌いだった。 虫がこの世にいるという事実ですら我慢できないようだった。 体の中で、取り分けて小さく見える手で、必死に虫から逃げていた。 結衣子は、いつも遠くからハラハラしながら見守っていた。 その子の手が、体のバランス上で大きければ心もさほど騒がなかったのだろうが、どう見ても、手足の小さな子どもだった。 その子が、身体いっぱいに、虫を避けている。 結衣子も虫が苦手だっただけに、気
    真理康子 さん作 [741]
  • 子どもは家を選べない〜その36〜

    梅の花の香りが強まった。 結衣子は、古風な造りの喫茶店で休憩をとることにした。 如何に、自宅の中に頭痛の種が山積みであろうと、日々の多忙は、拍車をかけていく一方で、それは、感謝すべきことなのだと自分に言い聞かせていたが、体力的な疲れには勝てなかった。 若干、カフェイン中毒に近いような多量の珈琲の飲み方で睡眠不足を誤魔化してきた。 ぬるめの珈琲を口に運ぶ時は、一服の清涼剤として、はるか昔の小さ
    真理康子 さん作 [671]
  • 子どもは家を選べない〜その35〜

    結衣子は、このような支えを得て、自分なりの成長を遂げたが、千鶴子の常軌を逸した言動は、親として、虐待の域にある。 房子の低次元の言動も、一種のハラスメントではあるが、これを裁くような優秀な施策はまだない。 注意されれば逆切れする嫌な人間を周りがもて余すだけである。 この打開策はないのだろうか?
    真理康子 さん作 [637]
  • 子どもは家を選べない〜その34〜

    結衣子は、受賞を機に増えた周囲との兼ね合いは【義務】のようにこなしていった。 学友や親戚縁者も嫌いではない。 それでも、結衣子は、小さな恋人に会いたいとばかり思っていた。 少し時間があれば、あの子は又泣いていないだろうか? あの小さな手は、今日も作業をしたのだろうか?などと思いを巡らせていた。 話をするでもなく、触れたこともない幼児で、常に頭の中は一杯で、【彼】に聴かせるつもりで音楽を奏で、
    真理康子 さん作 [726]
  • 子どもは家を選べない〜その33〜

    しだいに、結衣子は、祖父の施設訪問について行く時間をなくしていった。 たまらなく寂しいのではあるが、自分がもてはやされることで、自分の家族が周りの人々からチヤホヤされるのを喜んでいることを認識できると、その状況を保つように努力した方が良いのだろうと判断した。 学校においても、いわゆるトップグループの中にいて、そのメンバーの母親から、常に、どのような文章を書いたから表彰されたのかとか、親にどのよ
    真理康子 さん作 [696]
  • 子どもは家を選べない〜その16〜

    千鶴子には、己れの所業が理解出来ていなかったのであろう。 結衣子の父親に助けられた一族にとって、千鶴子は一族でもなんでもなかった。 結衣子の父親と、その子との縁を、親族扱いしようと決めた。 その頃は、房子の劣悪な性格は、まだ、父親がフォローした。 異性関係にだらしない千鶴子の場合、果たして離婚後に産まれた結衣子が我が子かどうか自信を持てなかった父親にとって、姉の結衣子の足元にも及ばず、姉のモノ
    真理康子 さん作 [650]
  • 子どもは家を選べない〜その32〜

    祖父の思いを受けてか、結衣子は小さな騎士のいる場に出向くことを大変楽しみにするようになった。 事実、ここで育つことが出来た方が幸せだったろう。 そんな矢先、結衣子が学校で書いた作文が文部大臣賞を受け、絵画がNHKのコンクールで優勝した。 低学年の快挙は学校のみならず地域やテレビでもてはやされた。 こうなって喜ぶのは、結衣子の母、千鶴子だった。 絵や文章が取り沙汰されている処に加えて、ピアノま
    真理康子 さん作 [658]
 
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