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まりこ さんの投稿された作品が62件見つかりました。

 
  • 子どもは家を選べない〜その14〜

    千鶴子は、一度目の結婚までは、上の二人の姉のように、贅沢な暮らしをして、大変な資産家に嫁いで、その夢見がちな性格のまま、成人となった。 ところが、嫁ぎ先は、資産家であると同時に、ビジネスには、果敢に取り組む性質上、当時の風潮に習って、顔も見ないで、旧家から嫁をもらったが、三日も経たない内に、千鶴子では、大事な跡取りの嫁はつとまらないと見抜いた。千鶴子の父親に、その旨を伝え、着飾らせて山のような
    真理康子 さん作 [624]
  • 子どもは家を選べない〜その14〜

    いかに、精神の強い者でも、執拗な嫌がらせが日常茶飯事で、それも、家の中で繰り返されれば、たまったものではない。 結衣子の父親は、千鶴子と結婚して、若くして胃潰瘍になり、その後も、心労が度重なって、胃を何度も摘出した。 千鶴子は、性的な喜びと、経済的な安定しか求めない女だったので、年の離れた夫には飽きたらず浮気を繰り返し、経済力がないので、離婚などしようとはしなかった。 子どもは、そんな千鶴子を
    真理康子 さん作 [703]
  • 子どもは家を選べない〜その13〜

    結衣子は、自分の容姿のいたらなさを自覚して、教養を身につけることで自らを補おうと努力した、ロシアのエカテリーナ二世にちなんで、よく読書をした。中でも、哲学書やガンジーの思想などを読むようにしていた。ガンジーの無抵抗主義には、若い頃、ずいぶん共鳴した。いかなる被害にあおうとも、自らは凛として立ち向かえるようでありたいと思った。良いと思うことには、片っ端からチャレンジした。許されざる行為をしてくる
    真理康子 さん作 [806]
  • 子どもは家を選べない〜その12〜

    恐怖は、翔の脆さだった。 感情の起伏の少ない、誰かの強烈な味方をするでもない気性は、母親に対して猛り狂うような祖母や叔母を拒否するものではなかった。 自分に対して、身の世話を焼かれることは、さして構わず、都合良く家の者と接していた。 国立の大学を出してもらい、豊かな学生生活を終えたが、就職もせずに、家で出来る仕事をしようとしていた。 生活のリズムは崩れ、しまりのない生活ぶりは、内外に忙しい結衣
    真理康子 さん作 [802]
  • 汝、右の頬打たらば

    幼稚園に入るまで、自分は、普通の子どもだと思っていた。 ただ、祖父母や叔母も多くいて、にぎやかな家庭であるとは感じていた。 後からわかったことだが、戦時中に騙されて一切の財産をなくした母型の親族を、父が引き取り、同居していたまでで、裕福な多世帯住宅というわけではなかった。 叔母たちは、私の家から嫁に行き、さながら、年の離れた姉が数名いるような環境だった。 家事は、叔母や祖父が率先して担ってくれ
    真理康子 さん作 [703]
  • 子どもは家を選べない〜その11〜

    ここに登場する人物やストーリーは、実は、架空のものではない。 家庭内で家族間が百パーセント上手くいく例の方が珍しいのである。 人は、常に、誰かを傷つけ、傷つけられている。 各々の心の持ち様がさまざまであるからこそ、世の中は、日々目新しく、確実に、1日前とは違う自分を生きていて、他人の価値観とすっくり同じようにいかないジレンマを抱えている。それゆえ、各人一人一人の生は尊重されるべきであって、親兄
    真理康子 さん作 [967]
  • 子どもは家を選べない〜その10〜

    千鶴子と房子は、結衣子のものをクスネルことを常習する内に、結衣子の一人息子を、自分たち二人と共に居させたくてたまらなくなっていった。房子は、幼少時より、近隣の子どもを呼びつけて、自宅の箪笥に閉じ込めて泣かせたり、長じて生徒を持つ立場になって、気に入らない生徒は、窓際まで担いでいって、窓から突き落とすと脅迫した。ゆかりという子どもは、十年たっても、そのトラウマから抜け出せずにいる。それを笑っていら
    真理康子 さん作 [1,066]
  • 子どもは家を選べない〜その2〜

    結衣子の妹の房子は、実に風変わりな子どもだった。大変気性が激しく、気に入らないと泣き叫んで、周囲の手を煩わせた。その内、うるさいので、泣き叫んで欲しがるようなものは、与えておくような扱いを受けた。子どもには、そんな事情は判らない。泣き叫べば、世の中は自分の思い通りに鳴門いう風に理解したようである。この五月蝿い子どもの守りが、幼少時の結衣子の仕事だった。結衣子は、祖父に連れられて出かける時以外は
    真理康子 さん作 [992]
  • 子どもは家を選べない〜その10〜

    千鶴子と房子は、結衣子のものをクスねることを常習する内に、結衣子の一人息子を、自分たち二人と共に居させたくてたまらなくなっていった。房子は、幼少時より、近隣の子どもを呼びつけて、自宅の箪笥に閉じ込めて泣かせたり、長じて生徒を持つ立場になって、気に入らない幼児は担いで窓から突き落とす脅迫をするような残虐性を備えていた。結衣子は、ボランティア活動で、房子が随分昔に、気にくわないと言っては、幼いゆか
    真理康子 さん作 [754]
  • 子どもは家を選べない〜9〜

    結衣子は、自分を、強くなったなあ…と思う。病を持つ体らしき煩わしさと付き合い出して40年以上の歳月が流れた。失ったものも多い。大病を患っているからといって、親に甘えることが出来たわけではない。病と家族の内の二人という「大勢」との戦いのある自宅は、結衣子にとって何一つ、心が安らぐ処ではなかった。それでも、長年続いてきた家の末裔である重みが、結衣子に、人でなしの母親と妹との完全な別居を踏みとどめた
    真理康子 さん作 [918]
 
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