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水無月密さんの投稿された作品が13件見つかりました。

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  • ベースボール・ラプソディ No.69

     試合を終えた聖覧野球部監督、三宅新次郎は取材の要請に応じて数社の記者たちと談笑していた。 その取材を終えて記者たちと別れた三宅は、不意に背中を呼び止められてに足を止めた。「三宅監督」 聞きなれぬ声に振り替えった三宅は、哲哉と八雲の姿を視認すると老獪な笑みを浮かべた。「……結城か。 今や飛ぶ鳥をおとす勢いの橘華野球部の司令塔殿が、今さらワシに何のご用かな?」「厚かましいとは思いましたが、試合の前に
    水無月密さん作 [823]
  • 流狼-時の彷徨い人-No.87

     失意の帰還を遂げた信玄。 城で彼をまっていたのは、不信感をつのらせた義信と一通の親書であった。 険しい表情で信玄に対面した義信は、開口するやいなや、兵をともなって半次郎を追った事を叱責した。 そこで、実弟である半次郎の生存が絶望的な状況であることを伝えられると、義信は言葉をうしない、うなだれて一筋の涙をながした。「……父上、信之に何の罪があったというのですか?」 義信の問いかけに、信玄は口を閉ざ
    水無月密さん作 [881]
  • 流狼-時の彷徨い人-No.86

     帰路についた武田兵は、皆が等しく無口だった。 強さこそが全ての時代にあってその最たる存在であるはずの彼らは、たった一人の女性に戦慄し、敗走したことでその矜持を著しく傷つけられていた。 さらには、彼女がはっしたオーヴは彼らの知る気の概念とは大きくかけ離れたものであり、未知なるものへの恐怖が彼らをいっそう寡黙にさせていた。 一団の統率者である武田信玄も同様に無口であったが、その心情においては兵士たち
    水無月密さん作 [806]
  • 流狼-時の彷徨い人-No.85

     退却の素振りをみせる信玄にたいし、その距離を一気につめるべく身をかがめるノア。「逃しはせぬ」 大腿部に蓄えた力を開放しようとした刹那、出鼻をくじくように彼女の愛馬であるファルコンがその行く手をふさいだ。「ファルコン」 静かに見つめる黒鏡のような瞳が、ノアに訴えかけていた。 戦意を失い逃げはじめた敵を、この状況下で追う必要があるのかと。 普段の冷静な自分に立ち返ったノアは、振り替えって半次郎をみた
    水無月密さん作 [720]
  • ベースボール・ラプソディ No.68

     鈴宮工業戦の翌日、八雲と哲哉の二人は再び球場を訪れていた。 前日とは違いスタンドから試合を観戦する八雲たちの視線の先では、聖覧高校と柳澤高校の試合がおこなわれていた。 聖覧高校と相対する柳澤高校は強豪の一角にあげられており、決して弱い相手ではなかった。 一方の聖覧高校はこの試合でエースの岡村を温存して挑んでおり、勝敗の奇鄒は予断を許さない状態であった。 だが、いざ開戦すると聖覧高校が終始圧倒し、
    水無月密さん作 [915]
  • 流狼-時の彷徨い人-No.84

     己の命を盾として二人を救ったことに、一片の後悔もみせない半次郎。 その姿に、段蔵は言葉をうしなっていた 。 そして半次郎は最後の役目をはたすべく、偽りのないその胸中を段蔵に語りはじめる。「………ハクの名を耳にした時の、…加藤殿の目が気になっていました」 淡々と語りはじめた半次郎は、背の高い木々達の間からのぞく、僅かな空に目をむけた。 その蒼さは限りなく清んで見え、何故か無性に懐かしくおもえた。「
    水無月密さん作 [667]
  • 流狼-時の彷徨い人-No.83

     あらぶる感情にまかせて歩をすすめるノア。 その身体を覆う高密度のオーヴは局所で火花をとばし、際限なしに増大していた。 その様を目の当たりする半次郎は、自分が属するサイレントオーヴが明鏡止水の精神状態で発動するのにたいし、ノアが属するライジングオーヴが対極にある事を理解した。「……ちゃんと、…感情の起伏を持ち合わせているじゃないですか」 血にまみれた口許をほころばせる半次郎。 その息は絶え絶えで、
    水無月密さん作 [728]
  • 流狼-時の彷徨い人-No.82

     凄まじい闘気をまといしノアが、信玄に引導をわたすべくゆっくりと歩みはじめた。 その姿に、屈強で知られた武田の精鋭達が浮き足だっていた。 戦士として優れているからこそ、ノアの戦闘力が自分達とは次元が違う事を、本能が理解していたのだ。 振り下ろした軍配をそのままに半次郎を凝視する信玄は、視界にノアの姿をとらえておきながら、何の指示もださずにいた。「お館さま、撤退のご指示を。 あれは化け物です。 まと
    水無月密さん作 [592]
  • 流狼-時の彷徨い人-No.81

     その身に複数の銃弾をうけ、力尽きて崩れ落ちる半次郎。 その半次郎を抱き止めたノアは、忸怩の念に口許をゆがめていた。 彼女は加藤段蔵という強敵を意識しすぎたあまり、周囲への警戒がうすれていた。 そのつけを、半次郎に回してしまったのである。「ワタシが特異体質である事は話したはずだ。 なのに何故、ワタシの盾などになった」「……貴女はご自身が不老であるとはいわれたが、…不死であるとはいわれなかった。 …
    水無月密さん作 [614]
  • 流狼-時の彷徨い人-No.80

    「……一つも当たらねぇのかよ。 まったく、可愛いげのねぇ野郎だ」 言葉とは裏腹に、半次郎への評価をたかめていく段蔵。 そして彼は考える。 今、この場で手加減なしの勝負を半次郎にしかけても、十分楽しめるのではないかと。 段蔵のオーヴが僅な殺気をおびた刹那、その背後に忍び寄ったノアの剣が振りおろされた。 煌めきながら弧を描く剣に、是非もなく一刀両断に切り裂かれる段蔵。 だがその姿は、すぐさま霧散して無
    水無月密さん作 [627]
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