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アイさんの投稿された作品が109件見つかりました。

 
  • 私にはあなたの痛みがわからない

    遠くで放たれた言葉の矢は次々に誰かの胸に突き刺さる例えば私の胸に例えばあなたの胸に矢傷を塞ぐ間もなく新手の敵に備えて盾を構える傷ついた心の穴はどうするのほら、血が流れてるそんな身体でまだ戦うの?激しい言葉の応酬で互いの身体を傷つけて化膿した傷口はズキズキ、ズキズキそんなのは辛くて怖いからできるだけ矢は持たないようにしていたそれなのにまたやってしまったの気づかぬ内に私の左手は弓を手にしピンと弦を張っ
    アイさん作 [330]
  • 子供のセカイ。261

    それがミルバの本体であることを祈り、美香も素手で懸命に手伝った。耕太が空けた穴に手をかけ、ばりばりと木片を剥がしていく。掌が切れて血が滲んだが、構っている場合ではなかった。そうしている間にも、乙女たちはあっという間に二人に肉薄した。耕太は振り向き様に、「喰らえ!」と叫ぶと、今度は右手の剣を振るう。そこから氷の息吹が吹き出し、三人は身をねじって回避したが、避け切れなかった二人の乙女が、たちまち彫刻の
    アンヌさん作 [285]
  • 子供のセカイ。260

    やけに親切に説明され、美香は怪訝に思い眉を潜めた。何より、そう言いながらちっとも向かって来ようとしないソラの意図がはかれず、違和感が不安と同時にゆっくりと全身を包んでいく。その時、背後の階段の方で微かに靴音が鳴った。「!」耕太は突然走り出した。美香は一瞬遅れるものの、慌ててその後を追う。何をするの、と問い掛ける前に、耕太は走りながらポケットの中から二本の小枝を取り出し、両手にそれぞれ一本ずつ握り締
    アンヌさん作 [287]
  • 子供のセカイ。259

    美香は階段の手摺りを掴みながら、微かに唇を噛んだ。(うまく行き過ぎてる。……いいえ、ミルバは見つかっていないから、まだそうともいえないけど。でも、どうしてこんなにスムーズに進めるのかしら?)舞子には覇王がついているはずだ。それなのに、この警備の薄さは異常である。城に侵入されるなど、想像さえしていない傲慢な心が、警備を甘くしたとでもいうのだろうか――?「着いた。七階だ」耕太の少し弾んだ声に、美香はよ
    アンヌさん作 [326]
  • 子供のセカイ。258

    耕太は少しほっとしたように調子を合わせる。美香はいつものように、きつい口調で返した。「でも、だったらどうするの?あんたの力を使うには、あまりに勿体なすぎるわ。もう三回も使っちゃってるのに……」光の子供特有の力である想像の力は、“子供のセカイ”では五回が使用限度である。六度目には意識を失うことは、美香も耕太も、身をもって経験済みだ。最初の作戦から、美香と耕太の分身をばらまくこと、変身してコルニア城へ
    アンヌさん作 [319]
  • 子供のセカイ。257

    「黙ってなさい!あなたは今から、覇王様の裁きを受けるのよ」そして美香は耕太を引きずるようにして、可愛らしいステンドグラスのはまった真っ白な螺旋階段を登り始めた。耕太はすぐに美香の意図を察した。変身が解除されてしまったのを逆手に取り、捕まえた侵入者を連行するという体で、先へ進むつもりなのだろう。耕太はそれらしく見えるよう抵抗するそぶりを見せながら、それでも自分の足で階段を登った。二階にはすぐに着いた
    アンヌさん作 [298]
  • 子供のセカイ。256

    二階へ続く螺旋階段の前で、美香は胸をドキドキさせながら耕太を待った。臣下たちの上を下への大騒ぎに、ついに城兵が動き出したらしく、さっきから頻繁に白の乙女の姿をした美香の元へやって来ては、指示を仰ぐのだ。兵の配置や役目などからっきしな美香は、どう命令を下せばいいのかわからず、始終怒ったフリをして怒鳴りっぱなしだった。そうすると、皆怯えたように頭を下げて下がるので、なんとかばれることはなかったが、いつ
    アンヌさん作 [316]
  • 子供のセカイ。255

    美香は一呼吸置くと、手近にあるドアノブを思い切り引っ張った。ドアはすんなりと開いて、部屋の中から小さく男の悲鳴が上がる。「ヒッ!……あ、白の乙女様、どうして……」中にいたのは侍従のようだった。燕尾服に似た黒いスーツに身を包み、上品に白髪を整え、丸眼鏡をかけた老人である。(舞子好みじゃないから、たぶんミルバの城に元からいた人ね……)ミルバから聞いた話によると、スクルの城にいた臣下と兵で、舞子来襲の際
    アンヌさん作 [323]
  • 子供のセカイ。254

    美香は言葉を選びながら答えた。「わからないけど、覇王のことだから、せっかく捕らえた前支配者を逃がすような手は避けると思うの。もし万が一ミルバが逃げた時、普段いる場所のすぐ階下なら、簡単に捕まえられるでしょう?」耕太はしばし首を捻って考えていたが、やがて一つ大きく頷いた。「わかった。地下は俺がちゃっちゃと調べてきてやる。一階はお前に任せるから、二階に上がる階段の前で集合な!」自信満々な耕太の様子に、
    アンヌさん作 [291]
  • 子供のセカイ。253

    二人は耕太の想像の力で、「白の乙女」へと化けているのだ。しかも美香が必死に頭を悩ませて考案した、オリジナルの乙女である。周囲の者たちに溶け込み、なおかつまったく同じコピーにならないように工夫してある。舞子が次々に白の乙女を生み出しているという情報を街の住民から得たことから、新入りが二、三人いても怪しまれないと踏んだためだった。そしてその策は成功した。誰ひとり見慣れないはずの美香と耕太を気にも留めず
    アンヌさん作 [315]
 
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