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アイさんの投稿された作品が109件見つかりました。
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子供のセカイ。219
苦しくて怖くて胃がよじ切れるような身を掻きむしりたくなるような痛みを覚えたが、ミルバは静かな口調でなだめるように、「あれは分身だから、罪悪感を覚える必要はない」と言ってくれた。(ミルバは「分裂」しているだけで、城にいる『頭』の機能を持つミルバさえ助ければ、問題ないということなのかもしれない。)それでミルバを助けることになるのかもしれない。例え今目の前にいる、このミルバが死んだとしても――。それが
アンヌ さん作 [377] -
子供のセカイ。218
「きっと変身の練習をする、良い機会にもなるはずだ。」そう付け足したミルバに、耕太は間抜けな顔で口を開いた。「……変身?」「まさか、耕太の想像で私達の姿を変えて、城に忍び込むってわけじゃないわよね……?」嫌な予感を覚えながらも、怖ず怖ずと美香が口にすると、ミルバはそれこそ、何を言っているんだ、という顔つきで美香を見返した。「当たり前だろう。他にどんな方法があると?」美香は再び椅子の上でがっくりとう
アンヌ さん作 [360] -
おもいで
「とりあえずまだ生きてる」と微笑まれて悲しくて哀しくて涙があふれ出すけどまだ限界ではないからどうにか止められるんだ閉鎖的空間で二人だけで生き抜こうと決めた初春の日があってもう幾度の季節を越えただろう43800時間もの離れた時を過ごして醒めた色をした夢はいつしか僕だけの宝物になり未だにこころを囚われたまま君との約束を信じている
アイ さん作 [466] -
子供のセカイ。217
「させないさ。俺とミルバで邪魔して、計画を中断させてやろーぜ。そしたら時間的にも、もう少し余裕ができるし。」「いや、それは私達の役目じゃない。ハント達、治安部隊に任せよう。」思いがけない名前を聞き、美香はふ、と顔を上げた。「治安部隊…?あの、変な格好をして叫んでた人達?」「あんなのただの変人だろ。それに味方だと思わせて、師匠と王子を捕まえたのだって奴らだ。仲間になれるわけねえし。」冷めた子供達の
アンヌ さん作 [405] -
子供のセカイ。216
「そして今が、まさにその『差し迫った事態』ってわけね。」美香はぐっとズボンの生地に爪を立てると、テーブルを睨みつけた。衝撃が薄らぐと同時に込み上げてきたのは、火が噴き上げるような強烈な怒りだった。なぜ。その問いがぐるぐると頭の中を巡り、しかし熱くたぎる思考の中で、次第にどうでもよくなっていく。舞子の考えていることなどわからない。それは昔からそうだった。どんなに優しくしても、逆に厳しくしてみても、
アンヌ さん作 [424] -
子供のセカイ。215
ジョナというのが何かはわからなかったが、ジーナはひとまず頷くと、王子の背中を押して促した。王子は未だ不安そうな目でハントの方を見ていたが、やがて前を向き、自分の意思で歩き出す。いくら考えても、結論は出ないと判断したのだろう。ジーナもまた、近づいてくる灰色の無機質な建物を見据えながら、思考を巡らせていた。先程起こったことはあまりに奇妙すぎて、訳がわからない。それなら今は追及を放棄し、別のことに気を
アンヌ さん作 [420] -
子供のセカイ。214
それでも少年は突き出した指を引っ込めることなく、相変わらず同じ場所を凝視している。恐らく、「誰か」いるのだ。ジーナ達には見えない誰かが。(聞き間違いでなければ、ミルバ、と言ったように聞こえたが……。)それは、今ここにいるはずのない、前支配者の名前だった。その時、建物の影がわずかにぶれたように見えた。それはまるで、砂漠で見慣れた蜃気楼のようで、ジーナは目を細めてその姿の真偽を見極めようとする。ジー
アンヌ さん作 [404] -
子供のセカイ。213
ハントはたちまち表情を改め、かしこまった態度でわずかに顎を引く。少年は一瞬白けた目つきをしたが、すぐに事もなげに言った。「お兄さんが持ってた強制労働施設の……統治権、だっけ?それを半分ラドラスさんに渡してたのを、全部ラドラスさんにゆずるようにって、ハオウ様が言ってたよ。」「……全部、ですか?」ハントは思わず眉間に力を込めたが、少年が見ている手前、大人しく引き下がった。「承知致しました。覇王様にも
アンヌ さん作 [386] -
子供のセカイ。212
大方、美香と耕太を取り逃がしたことで、実力のなさを露呈したような形になってしまったのだろう。(いや、それとも――。)覇王に対し反逆精神を抱いていることを見破られたのか。「……僕たちをこのまま働かせておいていいの?」傍らの王子が抑えた声で放った一言に、ジーナは物思いから覚まされた。少年はふうん、と目を細める。「そっちのお兄さんは、自分がどういう立場にあるのか、わかってるみたいだね。」ハントを後ろに
アンヌ さん作 [398] -
子供のセカイ。211
ハントは背中に誰かを背負っていた。慎重に降ろされたその人物が、ぶかぶかのパジャマを着た、あの金髪碧眼の魂の分け身の少年であることに気づき、途端に二人は体を強張らせた。草地に降ろされた少年はわざとらしく服についた砂埃を払うと、ようやく今気づいた、というように、ジーナと王子に目を向けた。昼下がりの光のもと、青白い顔が一層浮き立って見える。少年は薄い唇を歪めて、なじるように言った。「あれ、お姉さんたち
アンヌ さん作 [398]