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アイさんの投稿された作品が109件見つかりました。

 
  • 子供のセカイ。201

    そんなジーナの不信に気づいたのか、ラドラスは得意げに唇の端をつり上げると、マントの下から何かを取り出した。「何でかっていうとだな、舞子様の想像の力を圧縮した、このボールのお陰さ。」取り出されたのは、地下の青い空間に穴を開けるのに使った、白いゴム製のボールだった。ジーナはまじまじとボールを見つめ、上機嫌のラドラスとボールとを見比べた。「これは支配者の力で作られたボールなのか!?」「ああ。箱を開いた
    アンヌ さん作 [407]
  • 子供のセカイ。200

    突然言われた言葉に、とっさにジーナは固まった。ベッド脇のパイプ椅子に腰掛けたラドラスは、今度はにやっと白い歯を見せてジーナに笑い掛けた。「へぇ。やっぱ可愛いとこあるじゃん。」「……黙れ。殺されたいのか?」二人が違う意味を込めた視線で睨み合っていると、灰色の扉がノックされた。「ラドラス。ジーナの具合はどう?」ジーナはハッとして顔を上げた。その声で、先程までの記憶が一気に蘇った。「王子!」「その声、
    アンヌ さん作 [412]
  • 子供のセカイ。199

    ぼやけた視界に映ったのは灰色の天井と、こちらを覗き込む黒髪、黒瞳の若々しい外見をした男だった。男は小動物のような懐っこい目をきらきらさせると、それに反して大人っぽく、日に焼けた顔で、少しだけ困ったように笑う。「……十三年ぶりの再会だぜ?なのに第一声がそれか。相変わらず手厳しいなぁ。」「お前は、再会した傍から何をしているんだ…?」「んー、つい懐かしくてさ。ほら、お前が騎士訓練生の時、よく先輩にいじ
    アンヌ さん作 [396]
  • 子供のセカイ。198

    「では、労働を続けさせてよいのですね?」「ええ。そしてトンネルが完成して、その時にもし逆らってくるようなら、消してもいいわ。」舞子は冷たい目で言い放った。それは冷たく見えるように見せる演技だった。今度は、舞子が覇王に譲歩していた。「それでいいんでしょ、覇王。」「……ああ。構わないよ、舞子。」覇王は幾分ほっとしたように、舞子を振り返って微笑みかけた。それを見て、ハントは心の中で舌打ちした。ジーナ達
    アンヌ さん作 [417]
  • 子供のセカイ。197

    「どうして私がそうするってわかるの?大体、もし指示が間違ってたらどうするのよ。後から言ったんじゃ遅いじゃない。」舞子は膨れっ面になり、腕組みをして顔を背ける。いかにも「怒ってます」というスタイルに、ハントは吹き出しそうになるのを懸命に堪えた。こういう所は、本当に可愛いげのある少女である。「だが舞子、君はただお姉さんを捕まえておきたいだけだろう?あの耕太とかいう少年はまだ同じように扱うにしても、影
    アンヌ さん作 [386]
  • 子供のセカイ。196

    しかし、それを言うハントでさえも影なのだから、この言い方は好んで用いられることはないが、あえてハントはこのように言った。案の定舞子は、訝しそうな表情でハントを振り返った。「二人の影って……お姉ちゃんの二人の仲間のこと?」「舞子!」覇王のいさめるような声が飛んだが、すでに遅かった。ハントは思わず息を呑み、礼儀も忘れて舞子を真っ向から凝視した。「お姉ちゃん…!?」じわ、と掌に汗がにじむ。ハントは心底
    アンヌ さん作 [405]
  • 子供のセカイ。195

    (くだらねぇ。情が移ったか?)これ以上覇王の機嫌を損ねる方が危険だというのに。みるみる険しい顔になっていく覇王にハントは胆を冷やしたが、その時、執務室のドアがノックされた。「覇王?入るわよ。」少女特有の高い声がくぐもって聞こえ、返事をする前にドアが開かれる。ひょっこりと顔を覗かせたのは、舞子だった。舞子は中にハントがいたのに驚いたのか、一瞬びくっと肩を持ち上げた。「……なんだ、ハントもいたのね。
    アンヌ さん作 [417]
  • 子供のセカイ。194

    「それに、光の子供は、夜羽部隊によって倒されたのではありませんか?」ねばつく喉を唾液で潤し、なんとかその言葉を押し出した途端、覇王の中の力が明らかに強まった。固い青色の目がハントから逸らされ、腹立たし気に床を睨む。そのわずかな仕草を見て、ハントは打たれるような思いで悟った。(……てことは、夜羽部隊は光の子供を仕留め損ねたのか!)やるじゃねぇか!ハントは喜びに浮き立ちかけたが、唇を噛むことでなんと
    アンヌ さん作 [388]
  • 子供のセカイ。193

    覇王は鼻で笑うと、「ふん、くだらない言い訳をするな。どの道、ジョナを報告に寄越したから問題はないがな。治安部隊ごときが情報を遮断しても、他のルートからすぐに伝わる。」そう言い、さらに言葉を続けた。「どうせ光の子供を取り逃がしたことで罰を受けるのを恐れたのだろうが、今回はまあ容赦してやろう。どの道、お前達の手に負えるとも思ってはいなかった。」覇王にしては珍しい情けだった。ハントは絨毯を見つめたまま
    アンヌ さん作 [401]
  • 子供のセカイ。192

    そこには執務机が一つと、書類の入った棚が二つ、それに一枚の絨毯が敷かれているのみだった。さらに言えば、壁に剣を納めるための窪みがあったが、覇王は常に剣を腰に帯びているため、一度も使われた形跡がない。開け放たれた窓から、調度よい温度の風と日の光が入ってきていたが、ハントはそれらを何一つとして感じていなかった。生きた心地がしない、というほど怯えているわけではない。覇王は確かに恐ろしい男だが、だからと
    アンヌ さん作 [394]
 
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